警備業法『備え付け書類』|コンプライアンスの根幹
警備業法の「備え付け書類」とは
警備業法第46条(旧44条)により、警備会社は営業所に一定の書類を備え付けておく義務がある。
行政庁(公安委員会)が立入検査を行う際、これらの書類を確認して「適正に運営されているか」を判断する。
これは、公安委員会の立入検査で必ず確認される“コンプライアンスの基礎体力”とも言える部分。
2024年以降の運用では「デジタル管理(電子帳簿)」が広く認められ、即時提示できること」が強く求められているのが最新の特徴。
備え付け書類が整っている会社は、
・行政指導が減る
・顧客からの信頼が高まる
・内部統制が強化される
というメリットが大きい。
備え付け書類一覧
| 書類名 | 法的根拠 | 主な内容 | 最新の実務ポイント(2024〜2026) |
|---|---|---|---|
| 警備員名簿 | 警備業法施行規則 | 氏名・住所・生年月日・雇用日・資格・配置先など | 退職者も削除せず残す/電子名簿OK/欠格事由確認と紐づけ |
| 新任教育計画書 | 警備業法第21条 | 新任教育30時間の計画 | オンライン教育併用可/年度ごとに作成 |
| 現任教育計画書 | 警備業法第21条 | 現任教育10時間の計画 | 計画と実施簿の整合性が必須 |
| 教育実施簿(指導実施簿) | 警備業法第21条 | 実施日・科目・講師・受講者 | オンライン受講ログも保存/監査で最重要 |
| 欠格事由確認書面 | 警備業法第14条 | 欠格事由の有無確認 | 本籍地記載住民票が一般的/暴排条例との整合性 |
| 装備品管理簿(護身用具数量書面) | 警備業法施行規則 | 警棒・手錠・無線機などの数量・貸出状況 | 紛失時の記録必須/電子管理が推奨 |
| 契約先一覧表(契約書) | 警備業法第46条 | 契約内容・期間・配置人数 | 電子契約OK/配置記録との整合性が厳しく確認 |
| 配置記録(勤務実績記録) | 警備業法施行規則 | 誰がいつどこで勤務したか | 勤怠システム連携が一般化/改ざん防止が必須 |
| 苦情処理簿 | 警備業法第46条 | 苦情内容・対応・再発防止策 | 苦情ゼロでも帳簿必須/電子フォーム化が主流 |
| 事故・トラブル記録簿 | 警備業法第46条 | 事故内容・対応・再発防止策 | 重大事故は公安委員会報告/映像証跡の保存が増加 |
| 指導計画書 | 警備業法施行規則 | 指導内容の計画 | 教育計画書とは別扱い/指導実施簿と整合させる |
備え付け書類の最新トレンド(2024〜2026)
・電子帳簿(クラウド管理)が標準化
→ 紙でなくてもOK。ただし「即時提示できる状態」が必須。
・教育・配置・契約の整合性チェックが強化
→ 計画書と実施簿の不一致は重大指摘。
・苦情・事故は“ゼロでも帳簿必須”
→ 空欄のまま備え付ける必要あり。
・装備品管理の厳格化
→ 紛失時の記録・報告が必須。
警備業法で義務づけられている備え付け書類
① 警備員名簿
警備員一人ひとりの基本情報を記録する法定帳簿。
最重要書類で、立入検査で必ずチェックされる。
記載項目の例
・氏名、生年月日、住所
・雇用開始日
・欠格事由の有無
・検定資格(1号・2号の各種)
・配置現場
・退職日(退職者も名簿に残す)
『ポイント』
・デジタル管理可。ただし「即時提示できる状態」が必須。
・退職者は削除せず「退職日を記載して名簿に残す」
・欠格事由確認の記録を名簿と紐づけて保存
・電子名簿が一般化(クラウド管理OK)
・検定資格の有効性(更新状況)を明確に記載
② 教育計画書(新任・現任)
警備員教育を計画的に実施するための書類。
法定教育時間を満たす計画を年度ごとに作成。
法定教育時間
・新任教育:30時間以上
・現任教育:年10時間以上
『ポイント』
・年度ごとに作成
・実施簿と内容が一致していることが重要
・計画と実施簿の整合性が厳しくチェックされる
・科目・時間数・講師名を明確に
・オンライン教育の併用が可能(2023通達以降)
③ 教育実施簿(指導実施簿)
教育を実際に行った記録。
記載項目の例
・実施日
・科目
・時間数
・講師
・受講者名
『ポイント』
・計画書と整合しているかが監査の焦点
・計画書との整合性が最重要チェック項目
・システム管理が効率的(クラウド化推奨)
・科目・時間・講師・受講者の記録が必須
・オンライン教育の場合は「受講ログ」も保存
④ 欠格事由確認書面(確認票)
警備員が欠格事由に該当しないことを確認する書類。
欠格事由の例
・禁錮以上の刑の執行中
・暴力団関係者
・破産者で復権していない
など
『ポイント』
・本籍地記載の住民票などを添付
・暴力団排除条例との整合性が求められる
・名簿と紐づけて管理する
⑤ 装備品管理簿(護身用具数量書面)
警備会社が保有する護身用具の数量を記録する書類。
対象例
・警棒
・手錠
・ヘルメット
・無線機
・制服
『ポイント』
・貸出・返却の記録が必須
・紛失時の対応記録も残す
・デジタル管理が推奨されている(紛失防止)
⑥ 警備契約先一覧表
どの顧客と契約しているかを一覧化した書類。
記載項目の例
・契約先名
・契約内容
・契約期間
・配置人数
『ポイント』
・実際の配置記録と一致しているかが重要
・電子契約でも可(即時提示できること)
・契約変更時は最新版を必ず保存
⑦ 苦情処理簿
利用者や第三者からの苦情を記録する帳簿。
記載項目の例
・苦情内容
・発生日
・対応者
・対応内容
・再発防止策
『ポイント』
・「苦情ゼロ」でも帳簿自体は必須
・空欄のまま備え付けておく
・再発防止策の記載が求められる
・電子化が一般化(フォーム化が推奨)
⑧ 事故・トラブル記録簿
現場で発生した事故やトラブルを記録する帳簿。
『ポイント』
・重大事故は公安委員会への報告義務あり
・再発防止策の記載が重要
・映像・写真などのデジタル証跡の保存が増加
⑨ 指導計画書
警備員への指導内容を計画する書類。
ポイント
・教育計画書と混同しないこと
・指導実施簿と整合させる
※最新の運用で特に重要なポイント(2024〜2026)
✔ デジタル管理が標準化
・紙でなくてもOK。
ただし 「即時提示できる状態」 が必須。
✔ 計画書と実施簿の整合性チェックが強化
・教育・指導・配置の整合性が監査の中心。
✔ 苦情・事故の「ゼロでも帳簿必須」
・空欄のまま備え付ける必要がある。
✔ 契約内容と現場配置の一致が厳しく確認される
・契約書と配置記録の不一致は重大指摘。
保存期間の目安
法律で明確に定められていないものもあるが、一般的な実務では以下が推奨される。
| 書類名 | 保存期間 |
|---|---|
| 警備員名簿 | 3年以上(退職後も) |
| 教育計画書 | 3年以上 |
| 教育実施簿 | 3年以上 |
| 苦情処理簿 | 3年以上 |
| 契約先一覧表 | 契約期間+3年 |
| 事故記録簿 | 5年以上推奨 |
立入検査でよく指摘される不備
・名簿の更新漏れ(退職者の反映忘れ)
・教育実施簿の科目・時間不足
・計画書と実施簿の不整合
・苦情簿が存在しない
・装備品管理簿が形骸化
・デジタル管理だが「即時提示できない」
・契約内容と現場配置が一致していない
警備業法:備え付け書類の役割
備え付け書類は、単なる「書類の置き場」ではなく、
警備会社の運営が法令に適合していることを証明する“コンプライアンスの根幹”として機能する。
警備会社の「法令遵守・安全管理・品質保証」を支える基幹資料。
立入検査・顧客評価・内部統制のすべてに直結する。
① 法令遵守(コンプライアンス)の証明
警備業法第46条に基づき、備え付け書類は「法定帳簿」。
これらが整っていることで、
・法令に従って運営している
・警備員の教育・配置が適正である
・会社としての管理体制が整っていることを客観的に示す。
=会社の信頼性を支える基礎資料
② 公安委員会の立入検査への対応
立入検査では、備え付け書類が必ず確認される。
特にチェックされるのは以下の整合性:
・名簿と教育記録が一致しているか
・契約内容と配置記録が一致しているか
・苦情・事故の記録が適切か
・装備品管理が適正か
書類が整っていれば、行政指導を避けられる。
③ 警備員の適正管理(安全・品質の確保)
備え付け書類は、警備員の状態を管理するための基礎データ。
・欠格事由の確認
・資格の有効性
・教育の実施状況
・配置の適正性
・装備品の貸出状況
これらが整うことで、
安全性・品質・事故防止につながる。
④ 顧客への信頼性向上
顧客(施設管理会社・自治体など)は、
「コンプライアンスが整っている警備会社」を強く求める。
備え付け書類が整っている会社は、
・入札で有利
・契約更新で評価が高い
・トラブル時の説明責任を果たせる
=営業面でも大きなメリット
⑤ 内部統制・業務改善の基盤
備え付け書類は、会社内部の管理にも役立つ。
・教育の進捗管理
・勤務実績の把握
・苦情・事故の分析
・装備品の紛失防止
・契約内容の確認
これらを体系的に管理することで、
業務の標準化・効率化・ミス防止につながる。
立入検査対策(2026年版)完全ガイド
警備業の立入検査は、「備付け書類の整備状況」+「教育・指導の実施状況」+「現場運用」 の3本柱で確認されます。
1.立入検査で必ず確認される“8つの備付け書類”
営業所に備え付ける義務がある法定書類は以下の8点。
① 警備員名簿(写真付き)
・写真は 3年以内
・退職後 1年間保存
・指摘頻度 No.1(写真の古さ)
② 確認票(欠格事由確認)
・採用時必須
・名簿と同じ期間保存が実務的
③ 護身用具台帳
・護身用具が無い場合も「無し」と記載
・数量・種類の更新漏れが多い
④ 指導計画書(年度計画)
・指導日から2年間保存
・月次指導の計画と実績の整合性が重要
⑤ 教育計画書(新任・現任)
・教育期開始の30日前までに備付け必須
・保存期間:教育期終了後 2年間
・最も違反が多い書類
⑥ 教育実施簿
・実施内容・時間・講師・受講者の記録
・保存期間:教育期終了後 2年間
⑦ 警備契約一覧
・常に最新状態で備付け
・契約変更時の更新漏れが多い
⑧ 苦情処理簿
・苦情ゼロでも「ゼロ」と記録
・対応内容・再発防止策の記載が必須
2.立入検査で“必ず指摘される”3大ポイント
① 写真の更新漏れ(名簿)
・3年以上前の写真 → 即指摘
・撮影日管理が必須
② 教育計画書の備付け遅れ
・年度開始30日前ルール
・例:年度開始4/1 → 3/2までに備付け
・遅れると「法令違反」
③ 教育時間不足(現任10時間)
・隊員ごとに累積管理が必要
・現場勤務が多い隊員ほど不足しやすい
3.立入検査で見られる“現場運用”ポイント
■ 配置記録(勤務実績)
・実際の勤務と契約内容が一致しているか
・休憩時間の記録が正確か
■ 警備員の携行品
・護身用具の有無
・警備業法に反する装備がないか
■ 現場教育の実施状況
・現場責任者の指導記録
・新任教育後の配置が適正か
警備業の立入検査で必ず確認される備え付け書類
①会社の基本情報・許可関連
・警備業者の許可証(写し)
・認定証(標識)掲示状況
・本店・営業所の組織図
・役員名簿・履歴書・誓約書
・欠格事由該当性の確認書類(役員)
・変更届出書の控え(役員変更・本店移転など)
②警備員に関する書類(最重要)
・警備員名簿(最新)
・警備員の雇入れ時の書類
身分証明書
住民票
誓約書
健康診断結果
・警備員教育の記録(初任・現任)
教育計画
実施記録(日時・講師・内容・署名)
教材
・配置転換・従事警備業務の記録
・警備員指導教育責任者の選任書類・資格証写し
・検定合格証の写し(1号・2号・雑踏・交通誘導など)
③業務管理に関する書類
・警備業務実施計画書(1号・2号・3号・4号)
・現場ごとの指示書・配置表
・巡察記録・業務日報
・事故発生時の報告書(様式)
・緊急連絡網
・装備品管理簿(無線・制服・警笛・誘導灯など)
④契約・取引先関連書類
・警備業務契約書(委託契約)
・重要事項説明書(契約前交付)
・見積書・仕様書
・請求書・業務報告書(顧客向け)
⑤労務・法令遵守関連書類(検査でよく指摘される)
・就業規則(警備業特有の条項含む)
・36協定(時間外労働)
・労働者名簿
・賃金台帳
・出勤簿(勤怠管理)
・社会保険加入状況の書類
・安全衛生管理体制(衛生管理者・産業医)
⑥教育・研修関連(警備業法第21条)
・教育計画(年間)
・教育実施記録(初任・現任)
・講師の資格確認書類
・教材(テキスト・動画・資料)
・教育評価・理解度確認テスト
⑦その他(検査官がよく見るポイント)
・苦情処理簿
・個人情報保護方針・管理規程
・防災・BCP関連書類
・警備員の装備品貸与記録
・制服の管理・返却記録
立入検査で実際にチェックされるポイント(実務)
◎1.書類の整合性
・名簿と教育記録の人数が一致しているか
・配置表と契約書の内容が矛盾していないか
・検定資格者の配置が法令に合っているか(2号警備の必須要件)
◎2.更新漏れ
・教育の未実施(特に現任教育)
・役員変更届の未提出
・契約書の更新忘れ
・健康診断の未受診
◎3.実態との乖離
・実際の現場運用と書類が一致しているか
・日報の記載が形式的になっていないか
・装備品の管理が曖昧になっていないか
立入検査に備える「ファイル構成テンプレート」
・01_許可・会社情報
・02_役員・責任者
・03_警備員名簿・資格
・04_教育(初任・現任)
・05_契約書・仕様書
・06_業務計画書・指示書
・07_日報・巡察記録
・08_事故・苦情
・09_労務管理
・10_装備品管理
・11_その他(個人情報・BCP)
警備Proで管理できる備え付け書類(法定書類)
「警備Pro」は、警備業法で義務づけられた備え付け書類の“ほぼ全域”を管理できるシステムです。
1.帳簿(法47条)※完全対応
警備Proは、契約・配置・稼働・事故などの情報を一元管理できるため、
帳簿として備え付けるべき内容をすべて電子化可能。
・契約情報
・配置人数
・実施日時
・警備員の稼働
・事故記録
→ 監査時はPDF出力で提出可能。
2.警備員名簿(法48条)※完全対応
警備員の基本情報・資格・入退社・配置履歴を管理できる。
→ 教育Proと連動するため、教育履歴の整合性も担保できる。
3.教育記録(新任・現任)※完全対応
教育Proと連携して、以下を自動管理:
・科目
・時間数
・講師
・受講者
→ 3年間保存義務に対応。
4.配置予定表(施行規則31条)※対応
・シフトと連動
・現場別配置計画
・現場配布用にPDF出力可能
5.事故・トラブル報告書(法46条)※対応
・写真添付
・時系列記録
→ 内部報告書として十分。
6.装備品管理台帳(実務必須)※対応
法定ではないが監査で必ず確認される領域。
・制服
・誘導灯
・無線機
・貸出・返却
6.装備品管理台帳(実務必須)※対応
法定ではないが監査で必ず確認される領域。
・制服
・誘導灯
・無線機
・貸出・返却
警備Proで管理できる“実務書類”
● 業務指示書(交通誘導・施設・雑踏)
標準テンプレートあり。
● 勤怠・シフト管理
スマホde勤怠と連動
● 現場別注意事項・危険ポイント
簡易版のリスク情報は登録可能。
警備Proと備え付け書類の対応表
| 書類区分 | 書類名 | 警備Pro対応 |
|---|---|---|
| 法定書類 | 帳簿 | ◎ 完全対応 |
| 法定書類 | 警備員名簿 | ◎ 完全対応 |
| 法定書類 | 教育記録 | ◎ 完全対応 |
| 法定書類 | 配置予定表 | ◎ 対応 |
| 法定書類 | 事故報告書 | ◎ 対応 |
| 実務書類 | 装備品台帳 | ◎ 対応 |
| 実務書類 | 業務指示書 | ◎ 対応 |
| 実務書類 | 勤怠・シフト | ◎ 対応 |
| 提出書類 | 雑踏警備計画書 | △ 要補完 |
| 提出書類 | 道路使用許可書類 | × 非対応 |
| 安全管理 | リスクアセスメント | △ 簡易のみ |
| 契約 | 電子契約 | × 非対応 |
※警備Proは “かなりカスタマイズ可能” な警備業向け管理システムです。
詳細につきましては、お問い合わせください。