警備員の新任教育 |プロの警備員としてのスタートライン
警備員として新任の教育を受ける際には、まず基本的な知識と技能を習得することが重要です。この教育は、警備業法に基づき実施され、一定の時間をかけて講習を行います。新任警備員は、法定の受講時間を満たすことが必要であり、指定された施設にて、安全管理のための訓練を受けます。
教育内容には、施設警備や交通誘導などの業務に関する安全対策、緊急時の対応方法、そして警備業務に関する法令や倫理などの知識が含まれます。これらの教育は、各地域の警備業協会が定めた基準に沿って行われ、必要に応じて検定を受けることで、技能の証明が可能です。
また、特定の条件を満たすことで教育の一部が免除される場合もあり、過去の経験や保有する資格が考慮されます。教育を受けることで、警備員としての適正を確認し、業務に必要な証明書を取得することができます。さらに、警備員指導教育責任者による指導のもと、実践的な研修も行われ、現場での対応力を高めます。
このような教育制度は、警備業界の会員企業にとっても、質の高い人材育成に繋がる重要な方法であり、社会全体の安心と安全を守るために不可欠な取り組みです。特に、災害時や大規模イベントなどの特別な警備業務に対応するためには、高度な教育と継続的な研修が求められます。
🛡️ 新任教育の概要
警備員の新任教育は、未経験者や新たに警備業務に従事する人が、業務に必要な知識・技能を身につけるために受ける法定研修です。これは警備業法で義務づけられており、安心・安全な警備業務の実施に欠かせないステップです。
・対象者:警備業務未経験者、または新たに警備員として雇用された人
・目的:警備業務を適正に実施するための基礎知識・技能の習得
・実施者:警備業者が責任を持って実施。教育は「警備員指導教育責任者」などの有資格者が担当
📚 教育内容と時間
新任教育は以下の2つで構成されます。
教育区分 | 内容 | 時間の目安 |
---|---|---|
基本教育 | 警備業法、関係法令、護身用具の使い方、応急措置、トラブル対応など | 10時間以上 |
業務別教育 | 施設警備(1号)、交通誘導(2号)など、業務ごとの専門知識と技能 | 10時間以上 |
合計で20時間以上の受講が義務付けられています。
🏢 実地教育について
・実際の現場でのマンツーマン指導も含まれることがあります。
・実地教育は業務別教育の一部として、最大5時間まで可能です。
・指導者は、経験豊富な警備員や指導教育責任者が担当します。
🎓 免除・短縮の条件
以下の条件に該当する場合、一部教育が免除または短縮されます。
・警備業務検定1級合格者:該当業務に就く場合、教育全体が免除
・警備業務経験者:過去3年以内に1年以上の経験がある場合、教育時間が7時間以上に短縮
・元警察官:通算1年以上の経験がある場合、教育時間が13時間以上に短縮
💰 教育中の待遇
・新任教育中も最低賃金以上の給与が支払われることが義務付けられています。
警備員の新任教育は、単なる座学ではなく、実技や現場での対応力を養う重要な研修です。これを受けることで、警備員としての適正・信頼・安心感が備わり、社会の安全に貢献できるようになります。
カリキュラムの具体的な内容
警備員の新任教育におけるカリキュラムの具体的な内容は、警備業法に基づいて体系的に構成されており、以下のような項目が含まれます。
📘 基本教育(10時間以上)
警備業務全般に共通する基礎知識を学びます。
・警備業法・関係法令の理解
警備業法、刑法、刑事訴訟法、民法などの基礎知識
・倫理・職業意識の育成
警備員としての責任感、公共性、守秘義務など
・緊急時対応・応急処置
怪我人の対応、火災・災害時の初期行動
・護身用具の使用方法
警棒・手錠などの適正使用と法的制限
・不審者・トラブル対応
通報・連携・初期対応の手順
🏢 業務別教育(10時間以上)
業務別教育は、警備員が担当する業務の種類に応じて専門的な知識と技能を習得するための教育です。
警備業法により、新任警備員は基本教育に加えて、担当業務に応じた業務別教育(10時間以上)を受けることが義務付けられています。
🏢 1号業務:施設警備
施設内の安全を守る業務で、ビル、商業施設、学校、病院などが対象です。
・出入管理の方法(来訪者・従業員の確認)
・巡回警備の手順と注意点
・防犯・防災設備の操作(監視カメラ、火災報知器など)
・緊急時の対応(火災、地震、事件発生時)
・立哨(定位置警備)の姿勢とマナー
🚧 2号業務:交通誘導警備
道路工事やイベント会場などで、車両や歩行者の安全誘導を行います。
・誘導棒や旗の使い方
・車両・歩行者の動線確保と安全誘導
・交通規制の実施方法と標識の設置
・雑踏警備(群衆の整理)の基本
・事故発生時の初期対応と通報手順
💼 3号業務:貴重品運搬警備
現金や貴重品を安全に運搬する業務で、金融機関や企業が対象です。
・運搬ルートの事前確認とリスク管理
・護送車両の安全確保と点検
・護身用具の携行と使用方法
・警察との連携体制
・緊急時の対応マニュアル
🧍♂️ 4号業務:身辺警備(ボディガード)
特定の人物の安全を守る業務で、要人や著名人などが対象です。
・護衛対象者の行動パターンの把握
・危険予測と回避行動
・警戒区域の設定と警備計画の立案
・護衛中のコミュニケーションと連携
・緊急避難ルートの確保
🧪 実地研修(業務別教育の一部)
・実際の現場での模擬訓練(最大5時間まで)
・指導教育責任者によるマンツーマン指導
・実務に即したロールプレイやケーススタディ
業務別教育は、警備員が現場で即戦力として活躍するための実践的な研修です。業務の特性に応じて内容が大きく異なるため、配属前にしっかりとした教育を受けることが求められます。
このカリキュラムを修了すると、受講証明書が交付され、警備業務に従事する資格が得られます。教育内容は警備業協会や警視庁の指導のもと、定期的に見直されており、社会情勢や事件事故の傾向に応じてアップデートされることもあります。
🧭 実地研修の目的
実地研修は、警備員の新任教育の中でも特に現場での実践力を養う重要なパートです。座学だけでは身につかない「現場対応力」や「動作の正確さ」を体得するために行われます。警備員としての「現場力」を磨く最初のステップです。
・警備業務の実際の流れや動作を体験する
・現場での判断力・対応力を養う
・指導教育責任者や先輩警備員から直接指導を受ける
・座学で学んだ知識を実技に落とし込む
🛠️ 実地研修の内容(業務別)
1号業務(施設警備)
・出入管理の模擬対応(来訪者の確認・記録)
・巡回ルートの確認と異常発見訓練
・防犯カメラ・警報装置の操作体験
・火災報知器の確認と避難誘導のシミュレーション
2号業務(交通誘導警備)
・誘導棒の正しい振り方と合図の練習
・車両・歩行者の誘導シミュレーション
・片側交互通行(通称「片交」)の実践訓練
・雑踏警備での群衆整理と安全確保の方法
3号業務(貴重品運搬)
・護送車両の乗降・点検手順
・運搬ルートの確認とリスク対応訓練
・護身用具の携行と使用方法の確認
4号業務(身辺警備)
・護衛対象者の動線確保と警戒区域の設定
・危険回避行動のロールプレイ
・護衛中の連携・報告訓練
👨🏫 指導体制と方法
・マンツーマン方式が基本
・指導者は、指導教育責任者または2年以上の経験を持つ警備員
・実際の現場または模擬現場で行う
・教育対象者の動作・技術を直接確認・指導
⏱️ 実地研修の時間と法的制限
・業務別教育のうち最大5時間までが実地研修として認められています
・実地研修は勤務ではなく教育として扱われるため、報酬や保険の扱いに注意が必要
💡 実地研修のポイント
・誘導棒の振り方は特に重要。車両に意図が伝わらないと事故の危険があるため、鏡の前で練習することが推奨されています。
・先輩警備員からの評価は動作一つで決まることもあるので、丁寧な姿勢と復習が大切です
・現場での経験が最も成長につながるため、研修後も積極的に学ぶ姿勢が求められます
✅ 研修中の注意点
警備員の新任研修中は、単に知識を詰め込むだけでなく、現場で信頼される警備員になるための土台作りの期間です。以下に、研修中に意識しておくべき注意点とアドバイスをまとめました。
1.時間厳守と服装の清潔感
・遅刻は厳禁。警備業務は時間管理が命です。
・制服や身だしなみは清潔に。第一印象が信頼に直結します。
2.メモを取る習慣をつける
・法令や誘導手順など、覚えることが多いため、記録が重要。
・現場での応用力にもつながります。
3.誘導棒の使い方は徹底的に練習
・誘導棒の振り方ひとつで「使える警備員かどうか」を判断されることも。
・鏡の前で練習し、自分の動作を客観的に確認しましょう。
4.先輩警備員との関係構築
・研修後は現場で先輩から学ぶことが多いため、挨拶と礼儀を大切に。
・朝は少し早めに現場に到着し、指導をお願いする姿勢が好印象。
5.安全意識を常に持つ
・自分自身の安全確保も警備の一部。無理な行動は禁物。
・危険予測と回避行動を意識することが重要です。
💡 研修を有意義にするアドバイス
・復習はその日のうちに
特に交通誘導や施設警備の動作は、体で覚える必要があります。帰宅後に復習することで定着率がアップ。
・質問を恐れない
わからないことはその場で聞く。曖昧な理解は現場でのミスにつながります。
・現場をイメージしながら学ぶ
座学でも「実際の現場ならどう動くか?」を意識すると、理解が深まります。
・体調管理を徹底する
長時間の研修は集中力が必要。睡眠・食事・水分補給をしっかりと。
研修は「ただの義務」ではなく、プロの警備員としてのスタートラインです。真剣に取り組むことで、現場でも信頼される存在になれます。
💰 教育にかかる費用の目安
費用は以下のような形で発生することがあります。
項目 | 内容 | 費用の目安 |
---|---|---|
教育受講料 | 外部機関や協会で受講する場合 | 約5,000円〜20,000円程度 |
教材費 | テキスト・DVDなど | 数千円(会社負担の場合もあり) |
人件費 | 教育中の給与(最低賃金以上が義務) | 地域の最低賃金×教育時間 |
その他 | 交通費・昼食代など | 実費(会社が支給する場合も) |
※多くの警備会社では、教育費用を会社側が負担するケースが一般的です。特にアルバイトや契約社員の場合、教育中も給与が支払われることが法律で義務付けられています。
📌 補足情報
・警備業務検定などの資格を持っている場合は、教育時間が短縮または免除されることがあります。
・元警察官や警備経験者も教育時間が短縮される場合があります。
🏢 警備会社別・新任教育費用と待遇比較【参考情報】
※2025年時点の公開情報をもとにした目安です。
警備会社名 | 教育費用 | 教育中の給与 | 備品・制服費用 | 特記事項 |
---|---|---|---|---|
ALSOK(綜合警備保障) | 無料(会社負担) | 支給あり(最低賃金以上) | 制服・装備品は貸与 | 資格取得支援制度あり |
SECOM(セコム) | 無料(会社負担) | 支給あり | 制服・靴など一部給与天引き | 研修後に現場配属前の実地訓練あり |
セキュリティロード | 数万円(会社によって異なる) | 支給あり | 健康診断・制服代一部負担 | 現任教育も定期的に実施 |
地方中小警備会社 | 5,000円〜20,000円程度 | 支給あり(地域最低賃金) | 教材費・制服代が自己負担の場合あり | 柔軟な研修日程が多い |
💡 比較ポイントの解説
・教育費用:大手はほぼ全額会社負担。中小は自己負担が発生することも。
・給与支給:法律で義務付けられているため、どの会社も支給。ただし金額や支払いタイミングは異なる。
・制服・備品:貸与か購入かで初期費用に差が出る。給与天引きのケースもあるので要確認。
・資格支援:ALSOKやSECOMなどは資格取得支援制度が充実しており、長期的なキャリア形成に有利。
🏆 教育制度が充実している警備会社【2025年版】
会社名 | 特徴 | 教育制度の強み |
---|---|---|
ALSOK(綜合警備保障) | 大手警備会社 | 新任・現任教育に加え、資格取得支援制度が充実。eラーニングやOJTも導入。 |
SECOM(セコム) | 業界最大手 | 階層別研修制度あり。現場配属前に実地研修を徹底。管理職向け教育も整備。 |
日総警備(NISSO) | 地域密着型 | 実務訓練・声出し訓練・現場同行研修など、実践的な教育が豊富。 |
船井総研と提携する2号警備会社 | 中小企業向け支援 | 教育を「投資」と捉え、現任教育に力を入れている。OJT・ロールプレイ・動画教材など多様な手法を導入。 |
🎓 教育制度の優れているポイントとは?
・段階的な研修:オリエンテーション → ビデオ研修 → 実務訓練 → 実地研修
・資格取得支援:警備業務検定などの取得費用補助や社内講習
・現任教育の充実:年1回以上の法定教育に加え、事故事例や法改正対応の研修
・OJT・ロールプレイ:ベテラン警備員による実地指導や模擬訓練で即戦力化
・教材の質:動画マニュアル・ケーススタディ・法令集などを活用
💡おすすめの選び方
・長期的に働きたいなら:ALSOKやSECOMのようなキャリア支援がある会社
・実践力を重視するなら:日総警備や船井総研提携企業のような現場重視型
・地域密着で働きたいなら:地元の中小警備会社でも教育制度が整っているところを選ぶと◎
🛡️ 新任教育後の主な進路
警備員の新任教育を受けた後は、いよいよ現場での勤務がスタートします。進路は個人の希望や会社の方針によって異なりますが、一般的な流れを以下にまとめてみました。
1.現場配属
・教育を終えると、施設警備・交通誘導・イベント警備などの現場に配属されます。
・最初は先輩警備員と一緒に勤務し、実務を通じてスキルを磨きます。
2.業務別の専門化
・配属先によっては、特定の分野に特化することもあります。
例:空港警備、病院警備、商業施設警備など
・経験を積むことで、より高度な業務を任されるようになります。
3.資格取得によるキャリアアップ
・警備業務検定(1級・2級)などの資格取得を目指すことで、昇進や給与アップにつながります。
・指導教育責任者などの役職を目指す道もあります。
4.隊長・リーダー職への昇格
・勤務態度や実績が認められると、隊長や現場責任者としてチームをまとめる役割に昇格することも。
・管理職としての道も開けてきます。
5.他業種へのステップアップ
・警備業で培った「責任感」「対応力」「危機管理能力」は、他業種でも高く評価されます。
・施設管理、ビルメンテナンス、セキュリティ関連企業などへの転職も可能です。
🎯 進路を広げるためのヒント
・継続的な現任教育:毎年10時間以上の教育が義務付けられており、スキルの維持・向上が求められます。
・会社選びも重要:教育制度やキャリア支援が充実している会社を選ぶと、長期的な成長につながります。
🎓 主な警備員関連資格
新任教育を受講した後、警備員としてのキャリアをさらに広げるためには、資格取得が非常に有効です。
資格名 | 内容 | 受験資格 | メリット |
---|---|---|---|
警備業務検定(1級・2級) | 施設警備・交通誘導・貴重品運搬などの専門知識と技能を問う国家資格 | 2級は18歳以上、1級は2級取得後1年以上の実務経験 | 昇進・資格手当・現場責任者への道が開ける |
指導教育責任者 | 警備員の教育を担当するための資格 | 警備業務検定1級取得者などが対象 | 教育担当者としてのキャリアが可能 |
機械警備業務管理者 | 機械警備(センサーや監視カメラ等)の管理に必要な資格 | 警備業務経験者など | 機械警備部門への配属や管理職に有利 |
🛠️ 資格取得のステップ
1.新任教育の修了
・基本教育+業務別教育で合計20時間以上の受講が必要です。
2.現場経験を積む
・実務経験が資格取得の条件になることが多いため、まずは現場での勤務が重要です。
3.検定試験の受験
・各都道府県の公安委員会が実施する試験に申し込みます。
・試験内容は筆記+実技(例:敬礼、誘導動作など)。
4.資格取得後の活用
・資格手当が支給される会社もあり、収入アップにつながります。
・隊長や現場責任者など、リーダー職への昇格も可能です。
💡 こんな人におすすめ
・長く警備業界で働きたい人
・収入や役職を上げたい人
・専門分野に特化したい人(例:交通誘導、施設警備)
資格取得は「ただの肩書き」ではなく、あなたの信頼性と専門性を高める武器になります。