警備会社を個人で経営するには?開業・認定申請の手続きと必要条件を解説
警備会社は、個人事業主として開業して経営することができます。
ただし、一般的な個人事業とは異なり、警備業を営むためには警備業法に基づく手続きが必要です。営業所を準備したうえで、都道府県公安委員会から警備業の認定を受けなければ、警備業務を開始することはできません。
さらに、警備員指導教育責任者の配置、警備員への教育、営業所の整備、必要書類の提出など、開業前に準備しておくべき事項があります。
この記事では、警備会社を個人で経営する場合に必要となる条件や認定申請の流れ、必要書類、営業所の準備、開業後の注意点について解説します。
警備会社は個人でも経営できる?
警備会社は、株式会社や合同会社などの法人だけでなく、個人事業主として経営することも可能です。
ただし、税務署へ開業届を提出するだけで警備業を始められるわけではありません。
警備業を営むためには、警備業法に基づく認定を受ける必要があります。
個人で警備会社を開業する場合は、主に次の準備が必要です。
● 警備業を行う営業所を確保する
● どの警備業務を行うのか決める
● 必要な警備員指導教育責任者を確保する
● 認定申請に必要な書類を準備する
● 営業所を管轄する警察署へ申請する
● 認定後に必要な届出を行う
● 警備員の採用・教育体制を整える
● 勤怠・配置・契約などの管理体制を整える
つまり、「個人事業として開業する手続き」と「警備業を営むための認定手続き」は別に考える必要があります。
個人で警備会社を始めるための条件とは?
個人で警備会社を経営する場合、法令上の条件だけでなく、実際に警備業務を行うための体制も整える必要があります。
特に重要なのが、次のポイントです。
● 警備業法に基づく認定を受ける
● 継続して使用できる営業所を確保する
● 業務区分に応じた警備員指導教育責任者を配置する
● 申請者などが欠格事由に該当しないことを確認する
● 警備員への教育体制を整備する
● 警備業務に関する契約・管理体制を整える
● 労働保険・社会保険などの労務管理を行う
● 必要に応じて損害賠償保険などへの加入を検討する
警備業は「安全」を扱う仕事であるため、開業時から法令遵守と管理体制を意識することが重要です。
警備業の4つの業務区分
警備業務は、警備業法上、次の4つの区分に分けられます。
1号業務:施設警備
オフィスビル、商業施設、病院などの施設を対象とする警備です。
主な業務には、施設内の巡回や出入管理、盗難・火災などの事故防止があります。
2号業務:交通誘導・雑踏警備
工事現場やイベント会場など、人や車両が集中する場所で事故を防止する警備です。
交通誘導警備やイベント会場での雑踏警備などが該当します。
3号業務:運搬警備
現金や貴金属、美術品などの貴重品を運搬する際に、盗難や事故などを防止する警備です。
4号業務:身辺警備
人の身体に対する危害を防止する業務です。
いわゆるボディーガードや要人警護などが該当します。
複数の業務を行う場合は、それぞれの業務区分に応じた体制を整える必要があります。
そのため、開業前に「どの警備サービスを提供するのか」を明確にしておきましょう。
警備員指導教育責任者は必要?
警備会社を経営するうえで、警備員指導教育責任者は重要な役割を担います。
警備員指導教育責任者は、警備員に対する教育や指導を行い、警備業務が適正に行われるよう管理する立場です。
準備する際は、次の点を確認しましょう。
● 行う警備業務の区分に対応した資格者を配置する
● 営業所ごとに必要な体制を整える
● 警備員に必要な教育を実施する
● 教育の実施状況を適切に記録する
● 経営者自身が資格を取得する方法も検討する
● 自身が資格を取得しない場合は、有資格者を確保する
元記事では、資格取得について、該当業務の経験や講習、修了考査などが必要とされています。実際の受験資格や講習内容については、申請する地域の最新情報を確認してから準備することが重要です。
警備会社の認定申請はどこにする?
警備業の認定申請は、営業所の所在地を管轄する警察署を窓口として行います。
申請前に、管轄警察署へ電話などで相談し、必要書類や受付方法を確認しておくとスムーズです。
一般的な流れは次のとおりです。
STEP1:行う警備業務を決める
まず、1号から4号までのどの業務を行うのかを決定します。
例えば、
● オフィスや商業施設の警備 → 1号業務
● 工事現場の交通誘導 → 2号業務
● 現金・貴重品の運搬 → 3号業務
● VIPなどの身辺警護 → 4号業務
というように、実際のサービス内容に応じて区分を確認します。
STEP2:営業所を準備する
警備業を運営するための営業所を確保します。
営業所については、次のような資料を準備する場合があります。
● 賃貸借契約書または使用承諾書
● 営業所の外観写真
● 営業所の内観写真
● 間取り図
● その他、管轄警察署から求められる資料
自宅を営業所として使用する場合も、警備業の営業所として適切かどうかを事前に確認することが重要です。
STEP3:必要書類を準備する
個人で申請する場合は、申請者や警備員指導教育責任者に関する書類を準備します。
代表的な書類は次のとおりです。
● 認定申請書
● 住民票
● 身分証明書
● 履歴書
● 医師の診断書
● 欠格事由に該当しない旨の誓約書
● 業務誠実実施の誓約書
● 警備員指導教育責任者資格者証の写し
● 営業所に関する書類
必要な書類や様式は申請先によって異なる場合があるため、事前に管轄警察署へ確認しましょう。
STEP4:警察署へ認定申請を行う
書類を準備したら、営業所を管轄する警察署へ申請します。
書類の記載ミスや不足があると、修正や再提出が必要になる場合があります。
そのため、申請前に必要書類をチェックリストなどで確認しておくと安心です。
STEP5:審査を受ける
提出した申請書類などについて審査が行われます。
元記事では、審査期間の目安として約40日、認定手数料として23,000円が記載されています。実際の手数料や審査期間は変更される可能性があるため、申請時点の最新情報を確認してください。
STEP6:認定後に必要な準備を行う
認定を受けた後も、業務開始に必要な届出や準備があります。
制服や護身用具などについて、業務内容に応じて必要な手続きを確認しましょう。
警備業の認定申請に必要な書類
個人で警備会社を開業する場合、書類の準備は重要なポイントです。
特に次の書類については、取得方法や発行までの期間を確認して早めに準備しておきましょう。
● 住民票
● 身分証明書
● 履歴書
● 医師の診断書
● 欠格事由に該当しない旨の誓約書
● 業務誠実実施の誓約書
● 警備員指導教育責任者資格者証の写し
● 営業所の賃貸借契約書または使用承諾書
● 営業所の写真・間取り図など
元記事では、住民票については本籍地の記載があり、マイナンバーの記載がないものが示されています。
警備会社の営業所はどう準備する?
警備業では、営業所の準備も重要です。
単に住所を登録するだけではなく、実際に警備会社の業務を行える環境を整える必要があります。
営業所を準備するときは、次の点を確認しましょう。
● 継続して使用できる場所を確保する
● 営業所の所在地を証明できる書類を準備する
● 外観・内観を確認できる状態にする
● 必要に応じて間取り図を準備する
● 警備員指導教育責任者が業務を行える環境を整える
● 管轄警察署から求められる資料を準備する
元記事では、仮設事務所やバーチャルオフィスについて注意が必要とされています。
営業所を契約する前に、警備業の営業所として使用できるかを管轄警察署へ確認しておくとよいでしょう。
個人事業主と法人、どちらがよい?
警備会社は個人事業主として始めることもできますが、事業規模や取引先によっては法人化を検討することもできます。
個人事業主として始める場合は、比較的小規模な事業としてスタートしやすく、経営者自身が営業や現場管理を行いやすいという特徴があります。
一方、事業を拡大して従業員を増やしたり、大手企業との取引を増やしたりする場合は、法人化によって信用力を高めることを検討できます。
どちらを選ぶかは、次のような点を考慮するとよいでしょう。
● 開業時の資金
● 予定している従業員数
● 取引予定の企業
● 将来的な事業規模
● 経理・税務の負担
● 社会保険などの労務管理
最初から法人として始める方法だけでなく、個人事業主としてスタートし、事業の成長に合わせて法人化する方法もあります。
警備会社を個人経営するときの注意点
警備会社は、認定を取得した後も法令に沿った運営を続ける必要があります。
特に注意したいのが、警備員の教育と各種記録の管理です。
警備員の教育
警備員を雇用する場合は、必要な教育を適切に実施する必要があります。
● 新任警備員への教育
● 現任警備員への教育
● 教育内容の記録
● 教育実施状況の確認
● 指導教育責任者による管理
教育を実施するだけでなく、実施した内容を適切に記録・管理することも重要です。
警備員の勤務・配置管理
警備員が増えると、誰をどの現場に配置するかを管理する必要があります。
● 勤務予定の管理
● 現場への配置管理
● 勤務時間の管理
● 欠勤・交代への対応
● 必要な資格の確認
人員管理が不十分になると、現場運営だけでなく法令遵守にも影響する可能性があります。
契約・顧客管理
顧客との契約内容を明確にし、契約に沿った警備業務を行うことも重要です。
● 契約書の管理
● 警備内容の確認
● 現場ごとの警備計画
● 業務報告
● 顧客からの問い合わせ対応
● 苦情への対応
個人経営では経営者が複数の業務を担当することも多いため、最初から管理方法を決めておくとよいでしょう。
警備業で注意したい法令遵守
警備業では、開業後も法令や制度変更への対応が必要です。
元記事では、標識の掲示、Webサイトへの情報掲載、教育制度、指導教育責任者の配置などが実務上のポイントとして挙げられています。
日常の業務では、次のような項目を定期的に確認しましょう。
● 必要な標識を適切に掲示する
● 必要な情報をWebサイトなどに掲載する
● 警備員教育を適切に実施する
● 教育記録を正確に管理する
● 指導教育責任者を適切に配置する
● 警備員の資格・配置状況を確認する
● 契約書や社内規程を定期的に確認する
● 法令や制度変更がないか確認する
警備業は法令遵守が経営の基礎になるため、開業時から管理体制を整えておくことが重要です。
個人経営の警備会社が抱えやすい課題
個人で警備会社を経営すると、経営者自身が営業、採用、教育、現場管理、顧客対応などを担当することがあります。
そのため、事業を始める前に次のような課題を想定しておくことが大切です。
● 警備員を安定して採用できるか
● 警備員の教育を継続できるか
● 現場への人員配置を管理できるか
● 顧客を継続的に獲得できるか
● 事故やクレームに対応できるか
● 勤怠や給与を正確に管理できるか
● 法令・制度変更に対応できるか
● 人件費や車両費、装備費などを含めて利益を確保できるか
特に人材確保は、警備会社の経営を左右する重要な要素です。
個人経営の警備会社が生き残るためのポイント
警備業界では、大手企業だけでなく、中小・小規模の警備会社も競争しています。
そのため、価格だけで競争するのではなく、地域性や対応力、警備品質などを強みにすることが重要です。
例えば、次のような方法があります。
● 地域の建設会社や企業との関係を築く
● 交通誘導など特定の警備業務に特化する
● 有資格者を育成する
● 警備員教育の質を高める
● 顧客への報告・連絡を徹底する
● 急な人員変更などに柔軟に対応する
● 勤怠・教育・配置管理をデジタル化する
● 安全対策を顧客に積極的に提案する
元記事でも、人材確保・テクノロジー活用・品質管理を組み合わせることが競争力を高めるポイントとして挙げられています。
警備会社を個人で経営するメリット
個人経営には、大規模な警備会社にはないメリットもあります。
● 小規模から事業を始めやすい
● 経営判断をスピーディーに行いやすい
● 地域密着型の営業がしやすい
● 顧客の要望に柔軟に対応しやすい
● 経営者自身が現場を把握しやすい
● 事業規模に合わせて人員を増やしやすい
一方で、事業規模が大きくなると管理業務も増えていくため、必要に応じて業務のデジタル化や担当者の配置を検討することが重要です。
警備会社の個人経営に関するよくある質問
警備会社は個人事業主でも開業できますか?
はい。警備会社は個人事業主として経営することができます。
ただし、税務署への開業届だけでは警備業を開始できません。警備業法に基づく認定を受け、必要な資格者や営業所、教育体制などを整える必要があります。
警備会社を始めるには資格が必要ですか?
警備業を運営するためには、業務区分に応じた警備員指導教育責任者の配置が重要です。
また、実際の警備業務については、業務内容に応じて検定資格などが関係する場合があります。
自宅を警備会社の事務所にできますか?
自宅を営業所として使用することを検討できますが、警備業の営業所として必要な条件を満たしているか確認する必要があります。
自宅を使用する予定がある場合は、契約や使用状況などについて、事前に管轄警察署へ相談することをおすすめします。
警備業の認定にはどのくらい時間がかかりますか?
元記事では、審査期間の目安として約40日とされています。
ただし、申請内容や地域、書類の状況などによって異なる場合があるため、実際の期間については申請先へ確認してください。
警備業の認定には費用がかかりますか?
元記事では、認定手数料として23,000円が記載されています。
ただし、認定申請以外にも営業所の準備費用、制服・装備品、人材採用費、教育費、保険料などが必要になる場合があります。
そのため、開業前に認定手数料だけでなく、営業開始までに必要となる費用全体を計算しておくことが重要です。
警備会社を個人で開業するためのチェックリスト
開業準備を進める際は、次の項目を順番に確認しましょう。
● 行う警備業務を決める
● 営業所を確保する
● 警備員指導教育責任者を確保する
● 欠格事由に該当しないことを確認する
● 必要書類を準備する
● 管轄警察署へ事前相談する
● 認定申請を行う
● 審査を受ける
● 認定後に必要な届出を確認する
● 制服・装備品などを準備する
● 警備員を採用する
● 警備員への教育体制を整える
● 勤怠・配置・契約管理の仕組みを整える
● 営業開始後の法令遵守体制を構築する
まとめ|個人で警備会社を始めるなら認定と運営体制の準備が重要
警備会社は、個人事業主として開業・経営することが可能です。
ただし、一般的な個人事業とは異なり、警備業法に基づく認定を受ける必要があります。
開業前には、営業所の確保や必要書類の準備だけでなく、業務区分に応じた警備員指導教育責任者の配置、警備員教育、契約管理などの体制も整えておきましょう。
個人で警備会社を開業する場合に特に重要なのは、次のポイントです。
● 行う警備業務の種類を明確にする
● 営業所を準備する
● 必要な警備員指導教育責任者を確保する
● 必要書類を準備して認定申請を行う
● 認定後も警備員教育や記録管理を適切に行う
● 勤怠・配置・契約などの管理体制を整える
● 法令や制度変更を継続的に確認する
警備会社の経営では、認定を取得することだけでなく、営業開始後も適切な警備サービスを継続できる体制を作ることが重要です。
特に個人経営の場合は、地域密着型の営業や柔軟な現場対応を強みにしながら、採用・教育・管理業務を効率化することが、安定した経営につながります。