🛡️警備会社を個人で経営するための設立・申請手続きと必要条件
警備業界で個人として警備会社を起業・経営するには、法令に基づいた認定手続きと事務所・現場体制の整備が必要です。警備業法により、事業開始前には公安委員会への申請と認定を受けることが義務付けられており、これを怠ると無認可営業となり、厳しい罰則の対象となります。
🛡️警備会社の個人経営に向けた開業・運営ガイド
警備会社を個人で経営するには、法的要件の確認から事業計画の策定、警備業法に基づく許可申請など、複数のステップが必要です。開業の方法としては、まず公安委員会への届出を行い、警備員指導教育責任者などの資格取得が求められます。運営面では、業務内容に応じた人材採用、教育体制の整備、現場対応力の強化が重要です。
個人経営の警備会社は、小規模ながら柔軟な対応力を持ち、地域密着型のサービス提供が可能です。仕事の種類も多岐にわたり、施設警備、交通誘導、イベント警備など、ニーズに応じた業務展開が可能です。特に高齢者や副業希望者向けの雇用機会もあり、社会的意義の高い事業として注目されています。
成功事例としては、元警察官が地域の安全ニーズに応える形で設立した警備会社が、地元企業との契約を獲得し、安定した運営を実現したケースがあります。このような紹介は、これから開業を目指す方にとって一つの参考となるでしょう。
警備会社の個人経営は、法令遵守と現場力の両立が求められる分野ですが、適切な準備と戦略により、持続可能なビジネスとして展開することが可能です。
✅ 法的・制度的要件
・警備業法に基づく許可取得
都道府県の公安委員会から「警備業認定」を受ける必要があります。無許可営業は違法です。
・警備員指導教育責任者の選任
警備員を雇用する場合、教育責任者の資格保持者を配置する必要があります。
・事務所の設置
事業所として機能する物理的な拠点が必要です。自宅兼事務所でも可能ですが、要件を満たす必要があります。
・法人登記(または個人事業主登録)
法人として登記するか、個人事業主として税務署に開業届を提出します。
・欠格事由の確認
暴力団関係者や一定の犯罪歴がある者は、警備業を営むことができません。
📋 実務・運営面の要件
・業務内容の明確化
施設警備、交通誘導、イベント警備など、提供するサービスを明確に定義。
・人材の確保と教育体制
警備員の採用と研修制度の整備が必要です。教育責任者による定期的な指導も義務。
・保険加入
業務中の事故や損害に備え、損害賠償保険などへの加入が推奨されます。
・契約管理と顧客対応体制
契約書の整備、クレーム対応、現場管理など、運営体制の構築が重要です。
これらの要件を満たすことで、警備会社としての信頼性と法令遵守が確保されます。
✅起業・設立の基本条件
・日本国内に事務所を設置すること(仮設ではなく、継続的な使用が可能な拠点)
・警備業務に従事する者の適性確認(前科・暴力団関係の排除)
・経営者本人が警備業務に関する知識・経験を有していることが望ましい
・警備業法に基づく「警備業認定申請書」の提出と審査通過
📄認定申請の流れ(簡単な概要)
1.所轄の都道府県公安委員会に「警備業認定申請書」を提出
2.添付書類(履歴書、事務所の賃貸契約書、誓約書、登記簿謄本など)を準備
3.審査期間は通常2〜4週間程度
4.認定証の交付後、営業開始が可能
🏢事務所・現場体制の整備
・事務所には業務管理者を配置し、警備員の教育・指導体制を確立
・現場では警備計画書の作成、安全管理マニュアルの整備が求められる
・警備員には定期的な教育訓練を実施し、業務品質を維持
📌業界の特徴と留意点
・警備業界は法令遵守と信頼性が重視されるため、コンプライアンス体制の構築が不可欠
・個人経営でも法人格(合同会社や株式会社)を取得することで、信用力や契約面で有利になる
・起業後は労働保険・社会保険の加入、労働時間管理など労務面の整備も重要
🛡️ 個人経営の警備業:認定手続きの流れ
個人で警備会社を経営する場合でも、法人と同様に厳格な認定手続きが必要です。以下に、個人事業主として警備業を始めるための流れとポイントを詳しく解説します。
1.警備業の種類を決定
警備業務は以下の4つに分類されます。どの業務を行うかによって必要な資格が異なります。
区分 | 業務内容 |
---|---|
1号 | 施設警備(オフィス、商業施設、病院など) |
2号 | 交通誘導・雑踏警備(工事現場、イベント会場など) |
3号 | 現金・貴金属等の運搬警備 |
4号 | 身辺警護(ボディーガード) |
2.必要資格の取得
警備業を営むには「警備員指導教育責任者」の資格が必須です。
・起業者本人が資格を取得するのが望ましい(従業員に依存するとリスクが高い)
・資格取得には、該当業務に3年以上従事した経験などの受験資格が必要
・5〜7日間の講習+修了考査(80%以上の正解)で取得
3.認定申請の準備
営業所を管轄する警察署(防犯係)に申請します。
必要書類(個人事業主の場合)
・認定申請書
・住民票(本籍地記載)
・身分証明書(本籍地の役所で発行)
・診断書(精神・身体の健康確認)
・警備員指導教育責任者資格者証の写し
・誓約書(欠格事由に該当しないことの宣誓)
4.服装届出書の提出
制服の色・型式などを公安委員会に届け出ます。業務開始前日までに提出が必要です。
5.認定取得と営業開始
・審査期間:約40日(土日祝除く)
・認定手数料:23,000円
・認定の有効期間:5年間(更新手続きが必要)
⚠️ 注意点と欠格事由
以下に該当する場合、警備業を営むことはできません。
・破産手続中で復権していない
・禁錮以上の刑を受けて5年以内
・暴力団関係者、薬物中毒者、心身障害者
・成年者と同等の能力を持たない未成年者
✅ 実務上のポイント
・警備員指導教育責任者は営業所に常駐する必要あり
・制服や装備品(警棒等)も事前に届出が必要
・警察の立ち入り調査に備え、法定書類の整備が重要
🧭 認定申請の流れ(個人の場合)
個人で警備業の認定申請を行う場合、以下のような流れと必要書類があります。これは警視庁や行政書士事務所の情報に基づいた標準的な手続きです。
1.事前準備と確認
・営業所の所在地を管轄する警察署(生活安全課など)に事前連絡し、申請日時を予約。
・欠格事由に該当しないことを確認(例:破産者、禁錮以上の刑歴、暴力団関係者など)。
2.必要書類の収集
・申請者本人と警備員指導教育責任者に関する書類を準備(詳細は下記参照)。
3.申請書類の提出
・管轄警察署にて申請。手数料は23,000円。
・審査期間は約40日(土日祝除く)。
4.認定証の受領
・認定証を受け取ったら、警備業務開始前日までに服装届出書・護身用具届出書を提出。
5.認定の有効期間と更新
・有効期間は5年間。更新は満了日の30日前までに申請。
📑 必要書類一覧(個人申請)
書類名 | 対象者 | 備考 |
---|---|---|
住民票(本籍地記載) | 申請者・指導教育責任者 | マイナンバー記載なし |
履歴書 | 同上 | 書式自由 |
身分証明書 | 同上 | 本籍地の市区町村で発行 |
医師の診断書 | 同上 | 所定様式あり |
欠格事由に該当しない旨の誓約書 | 同上 | 所定様式あり |
業務誠実実施の誓約書 | 指導教育責任者 | 所定様式あり |
指導教育責任者資格者証の写し | 指導教育責任者 | 該当業務区分に応じた資格 |
📌 補足ポイント
・警備業務は「施設警備(1号)」「交通誘導(2号)」「運搬警備(3号)」「身辺警備(4号)」の4区分に分かれ、それぞれに対応した指導教育責任者が必要です。
・指導教育責任者は営業所ごとに配置が必要で、常勤性が求められます。
・認定後の変更(住所、責任者など)は届出が必要です。
🛡️ 警備業務の4つの区分(警備業法第2条)
警備業の申請においては、提供する業務の内容に応じて、以下の4つの業務区分から選択する必要があります。
それぞれの業務内容や適性が異なるため、目的や現場の特性に応じて選定することが重要です。
区分 | 名称 | 主な業務内容 | 代表例 |
---|---|---|---|
1号業務 | 施設警備 | 建物や施設内での盗難・火災などの事故防止 | オフィスビル、商業施設、駐車場など |
2号業務 | 雑踏・交通誘導警備 | 人や車両が混雑する場所での事故防止 | イベント会場、工事現場、交通誘導など |
3号業務 | 運搬警備 | 貴重品の運搬中の事故防止 | 現金輸送、美術品・貴金属の搬送など |
4号業務 | 身辺警備 | 人の身体に対する危害の防止 | ボディガード、要人警護など |
✅ 業務区分の選び方
申請する業務区分は、実際に提供する警備サービスの内容に基づいて選定します。例えば:
・商業施設やオフィスビルの常駐警備 → 1号業務
・工事現場での交通誘導 → 2号業務
・現金輸送業務を受託する場合 → 3号業務
・VIPや著名人の身辺警護 → 4号業務
複数の業務を行う場合は、該当するすべての区分で申請が必要です。また、営業所ごとに警備員指導教育責任者を区分ごとに選任する義務があります。
✅ 業務区分の選定ポイント
・施設の種類やリスクレベル:病院や商業施設なら1号警備、イベントや工事現場なら2号警備が適しています。
・警備対象の性質:現金や貴重品の輸送なら3号警備、個人の身辺保護なら4号警備。
・必要な資格・教育制度:交通誘導には「交通誘導警備業務検定」、身辺警備には「身辺警備検定」などが必要です。
📌補足ポイント
・認定申請は営業所所在地を管轄する警察署(防犯係)で行います。
・認定手数料は23,000円、審査期間は約40日。
・認定の有効期間は5年間で、更新申請が必要です。
🗂️ 警備業認定申請に関連する事務所設立書類
事務所(営業所)を設立する際に必要な書類は、警備業の認定申請に対応したものと、会社設立・事務所開設に伴う一般的な書類の両方を準備する必要があります。
書類名 | 用途・備考 |
---|---|
事務所の賃貸契約書または使用承諾書 | 営業所の所在地を証明するため。自宅兼事務所の場合も必要。 |
事務所の写真(外観・内観) | 実態のある営業所であることを示すため。 |
事務所の間取り図 | 警備員指導教育責任者の常駐スペースや教育設備の確認用。 |
事務所の看板設置証明(任意) | 屋号や会社名の表示があることを示す。 |
消防設備・防災設備の確認書類(任意) | 安全管理体制の一環として提出を求められる場合あり。 |
🏢 事務所開設に伴う一般的な書類(個人事業主)
書類名 | 用途・備考 |
---|---|
開業届(個人事業の開業・廃業等届出書) | 税務署へ提出。事業開始の正式な届出。 |
青色申告承認申請書(任意) | 節税効果のある青色申告を希望する場合。 |
事業所の電気・水道・通信契約書 | 実態のある事務所であることの補強資料。 |
印鑑登録証明書 | 申請書類への押印に使用する実印の証明。 |
事業用銀行口座の開設書類 | 資金管理・警備業認定申請時の払込証明にも使用。 |
📌 注意点
・警備業認定申請では、事務所が継続的に使用可能であることが求められます。仮設事務所やバーチャルオフィスは原則不可。
・警備員指導教育責任者が常勤できる環境であることが重要です。
・事務所の設置状況は、公安委員会による現地確認や写真提出で審査されます。
認定申請手続きにおいて注意すべきポイント
警備業の認定申請手続きにおいて注意すべきポイントは、以下のように多岐にわたります。特に見落としがちな点や実務上の注意点を中心にまとめました。
⚠️ 注意すべきポイント一覧
1.欠格事由の確認
・法人の役員や警備員指導教育責任者が以下に該当すると認定不可:
・成年被後見人、破産者(復権していない)
・禁錮以上の刑を受けて5年以内
・暴力団関係者や薬物中毒者
・心身の障害で業務遂行が困難な者
2.警備員指導教育責任者の配置
・営業所ごと、業務区分(1号〜4号)ごとに有資格者の配置が必要。
・常勤性が求められるため、居住地が営業所に通勤可能な範囲であることが重要。
3.定款の事業目的に「警備業」の記載
・法人申請の場合、定款に「警備業」が含まれていないと申請不可。
・事業目的の追加には株主総会の決議と定款変更登記が必要。
4.服装・護身用具の届出
・警備業務開始前日までに「服装届出書」「護身用具届出書」を提出。
・内容によっては受理されないこともあるため、早めの準備が必要。
5.更新手続きの期限
・認定の有効期間は5年間。
・更新申請は満了日の30日前までに行う必要あり(都内の場合は3か月前から受付)。
6.申請窓口と事前予約
・主たる営業所の所在地を管轄する警察署(生活安全課など)に申請。
・担当者不在の可能性があるため、事前に電話予約が推奨される3。
📄 実務上のアドバイス
・書類の不備や記載ミスがあると再提出になるため、チェックリストを活用すると安心。
・警備員指導教育責任者の資格証の写しや誓約書は、本人に早めに依頼しておく。
・複数営業所がある場合は、主たる営業所で認定を受けた後、他営業所に設置届を提出する必要がある。
警備業に関連する実務上のポイント
警備業に関連する実務上のポイントは、法令遵守・教育体制・情報公開・契約管理など多岐にわたります。
🛡️ 警備業法に基づく基本義務
・公安委員会の認定取得
都道府県公安委員会から認定を受けなければ警備業務は行えません。
・警備業務の4分類
・1号業務:施設警備
・2号業務:交通誘導・雑踏警備
・3号業務:貴重品運搬警備
・4号業務:身辺警護
🧾 実務対応ポイント(2024年改正対応含む)
項目 | 実務対応内容 | 留意点 |
---|---|---|
標識掲示義務 | 認定証廃止に伴い、会社が標識を作成・掲示 | 本社・主たる営業所に掲示。怠ると罰金最大30万円 |
Web情報公開 | 標識情報をWebサイトに掲載 | 認定番号・代表者名・所在地などを明記 |
社内文書更新 | 用語変更(例:認定証 → 認定)に対応 | 契約書・社内規程の修正が必要 |
教育制度 | 新任教育(20時間以上)+現任教育(年1回以上) | 教育記録簿の虚偽記載は罰則対象 |
指導教育責任者 | 国家資格者を営業所ごとに配置 | 教育体制の中核として機能 |
⚠️ よくある違反とリスク
・教育未実施・虚偽記載:営業停止命令、罰金、認定取消
・欠格者の従事:暴力団関係者や犯罪歴者の雇用は認定取消対象
・違法派遣・再委託:契約外の応援派遣は営業停止処分
・情報漏洩・権限逸脱:損害賠償や信頼失墜のリスク
💡 実務改善のヒント
・教育記録・勤怠・配置をデジタル管理し、法令遵守を効率化
・採用時に欠格事由チェックリストを活用
・応援体制は三社間契約で合法的に構築
・定期的な法令研修と自己点検の実施
警備業界の競争状況
🏢 業界構造と競争の現状
1.大手2社による寡占化
・セコムと綜合警備保障(ALSOK)の2社で業界売上の約35%を占める。
・売上高100億円以上の企業は全体の3%に過ぎないが、業界売上の60%以上を占めている。
・中小・零細事業者は人手不足やコスト高騰により、競争力を失い淘汰が進行中。
2.中小企業の苦境
・2024年の倒産・休廃業・解散件数は過去最多の138件。
・特に交通誘導などの小規模業者が多く、人材確保の困難さが経営破綻の主因。
📈 市場動向と成長領域
年度 | 業界売上高 | 傾向 |
---|---|---|
2022年 | 約3.4兆円 | コロナ禍でも堅調 |
2024年 | 約1.9兆円(主要828社) | 3年連続増収 |
・家庭向け警備サービス(機械警備、センサー連携など)が成長領域。
・医療・介護分野との連携や海外展開(東南アジア)も進行中。
🤖 技術革新による差別化
・大手はAI画像解析、ロボット巡回、ドローン警備などを導入。
・技術投資が進まない企業は受注単価の低下・競争力喪失に直面。
・有資格者の増員による単価引き上げ戦略も一部で成功。
⚠️ 実務上の競争課題
・価格競争の激化:特に施設警備では安値受注が横行。
・教育・品質管理の格差:教育不足やマニュアル未整備の企業は信頼を失いやすい。
・契約戦略の見直し:価格以外の付加価値(安全提案、報告品質)で差別化が必要。
💡 生き残りのカギ
・「人材確保 × テクノロジー活用 × 品質管理」の三位一体戦略
・顧客ニーズに応える柔軟な業務設計と現場対応力
・検定資格者の育成と配置による信頼性強化