警備業の24時間勤務は可能?労働基準法・仮眠・36協定のポイントを解説

警備業では、施設警備や常駐警備など、24時間体制での対応が求められる現場があります。そのため、「24時間勤務」や「1勤2休」といった勤務形態が採用されることもあります。

ただし、24時間現場に拘束されるからといって、そのすべてが労働時間になるとは限りません。実際の業務内容、休憩・仮眠中の自由度、労働時間制度、36協定などを総合的に確認する必要があります。

本記事では、警備業における24時間勤務について、労働基準法との関係、仮眠・休憩時間の考え方、勤務体制の設計、社内規定に含めるべき事項などを解説します。

警備業で24時間勤務はできる?

警備業で24時間体制の勤務を設けること自体が、直ちに違法になるわけではありません。

ただし、24時間拘束される勤務を適切に運用するためには、実際の労働時間、休憩・仮眠時間、勤務間の休息、変形労働時間制や36協定などを適切に管理する必要があります。

警備業では、主に以下のような現場で長時間の拘束勤務が発生する場合があります。

● 施設常駐警備
● ビル・商業施設の警
● 工場や物流施設の警備
● 夜間を含む継続的な監視業務

重要なのは、「24時間拘束されている」ことと「24時間すべてが労働時間である」ことは同じではないという点です。

労働基準法では労働時間はどう決められている?

労働基準法では、原則として1日8時間、1週間40時間を超えて労働させることはできません。

この法定労働時間を超えて労働させる場合には、36協定の締結・届出など、必要な手続きが求められます。

確認すべき基本的なポイントは以下のとおりです。

● 原則として1日8時間、1週40時間が法定労働時間
● 法定労働時間を超える場合は、36協定などの適切な手続きが必要
● 深夜時間帯の勤務には割増賃金への対応が必要
● 休日労働や時間外労働についても適切な管理が必要

24時間勤務を導入する場合は、単純に長時間勤務を認めるのではなく、どの時間が労働時間に該当するのかを明確にすることが重要です。

24時間勤務とはどのような勤務形態?

警備業における24時間勤務は、一般的に24時間すべてを連続して実働する勤務ではなく、休憩や仮眠を含む長時間の拘束勤務を指します。

例えば、午前9時から翌日の午前9時まで現場に滞在する場合でも、その24時間すべてが実労働時間とは限りません。

勤務時間は、次のように区分して考える必要があります。

● 実際に警備業務を行っている時間
● 休憩時間
● 仮眠時間
● 待機時間

ただし、名称だけで労働時間かどうかを判断することはできません。実際に業務から解放されているかどうかが重要な判断要素になります。

仮眠時間は労働時間に含まれる?

仮眠時間であっても、実際には業務から解放されていない場合、労働時間として扱われる可能性があります。

例えば、仮眠中であっても緊急対応が義務付けられている場合や、自由に現場を離れられない場合などは、実態に応じて労働時間に該当する可能性があります。

判断する際には、次のような点を確認します。

● 仮眠中に緊急対応を求められるか
● 呼び出しへの即時対応義務があるか
● 仮眠時間中に自由に過ごせるか
● 現場や指定された場所から離れられるか
● 十分な仮眠・休憩施設が確保されているか

つまり、「仮眠時間」と勤務表に記載しているだけでは、当然に労働時間から除外できるとは限りません。

24時間勤務を適切に運用するには?

24時間勤務を運用する場合は、勤務時間制度と実際の勤務状況を一致させ、労働時間を正確に管理することが重要です。

代表的な対応方法として、以下のような制度や管理方法があります。

変形労働時間制を活用する

1か月単位などの変形労働時間制を採用することで、一定の条件のもと、業務の繁閑や勤務形態に応じた労働時間の配分を検討できます。

ただし、制度の導入には就業規則や労使協定など、必要な手続きが関係する場合があります。

36協定を適切に締結・届出する

法定労働時間を超える時間外労働や休日労働を行わせる場合には、36協定が必要になります。

シフト作成時には、実際の労働時間が協定の範囲を超えていないか確認することが重要です。

仮眠・休憩時間を明確に区分する

勤務表上だけでなく、実際の運用においても、以下を明確にする必要があります。

● 休憩時間
● 仮眠時間
● 業務対応時間
● 緊急時の対応ルール

制度上の記載と現場の実態が異なる場合、労務管理上の問題につながる可能性があります。

どのような24時間勤務が問題になる?

労働時間の管理や休憩・仮眠の実態が不適切な場合、法令違反につながる可能性があります。

例えば、次のようなケースには注意が必要です。

● 法定労働時間を超えているにもかかわらず、必要な手続きを行っていない
● 仮眠・休憩時間中も常に業務対応を求められている
● 24時間勤務後の休息が十分に確保されていない
● 実際の労働時間を正確に記録していない
● シフト上の勤務時間と実際の勤務時間が異なっている

特に警備業では、現場によって勤務内容や緊急対応の頻度が異なります。そのため、勤務表だけで判断せず、実際の勤務実態を定期的に確認することが重要です。

警備業の勤務形態はどう設計すればよい?

勤務形態を設計する際は、法令への対応だけでなく、警備業務の安定性、従業員の負担、安全性のバランスを考える必要があります。

交代制勤務を導入する

複数の警備員で交代する勤務体制を設けることで、1人あたりの連続勤務時間を調整しやすくなります。

例えば、以下のような勤務形態があります。

● 8時間×3交代制
● 12時間×2交代制
● 日勤・夜勤の交代制

どの勤務形態が適しているかは、現場の警備内容や必要な人員数によって異なります。

勤務後の休息を確保する

長時間拘束勤務の後は、十分な休息を確保できるようシフトを設計することが重要です。

例えば、24時間勤務後に「明け休み」を設定する勤務形態もあります。

ただし、明け休みの扱いや休日との関係は、勤務制度や就業規則に応じて整理する必要があります。

勤務時間を見える化する

勤務時間、休憩、仮眠、残業、休日労働などを区別して記録することで、労働時間の把握がしやすくなります。

特に長時間拘束勤務では、勤怠管理の精度が重要です。

勤怠管理システムはなぜ必要?

24時間体制の警備現場では、勤務時間や休憩・仮眠時間を正確に記録するため、勤怠管理を仕組み化することが重要です。

紙やExcelで管理することもできますが、従業員数や現場数が多い場合は管理業務が複雑になることがあります。

勤怠管理システムでは、次のような情報をまとめて管理できます。

● 出勤・退勤時刻
● 実労働時間
● 休憩時間
● 仮眠時間
● 時間外労働
● 深夜労働
● 休日労働

データを正確に記録することで、給与計算や労務管理にも活用しやすくなります。

24時間勤務のメリットと注意点は?

24時間勤務には、警備業務を継続的に提供できるメリットがある一方、従業員への負担を適切に管理する必要があります。

主なメリット

● 24時間体制の警備サービスを提供しやすい
● 夜間を含めた継続的な施設監視ができる
● シフト設計によっては勤務日数を調整しやすい
● 勤務体系によっては従業員の働き方の選択肢を広げられる

注意すべき点

● 長時間拘束による身体的・精神的な負担
● 仮眠や休憩を十分に取得できないリスク
● 時間外労働や深夜労働の管理
● 勤怠記録と実際の勤務状況の差
● 長時間勤務が続いた場合の離職リスク

制度を導入する際は、業務効率だけでなく、警備員が継続して安全に働ける環境になっているかを確認することが大切です。

社内規定には何を定めるべき?

24時間勤務を運用する場合、勤務時間や休憩・仮眠時間の扱いを社内規定や就業規則などで明確にしておくことが重要です。

勤務体制と労働時間

● 勤務形態の種類
● 始業・終業時刻
● 所定労働時間
● シフトの作成方法
● 明け休みや休日の取扱い

休憩・仮眠・待機時間

● 休憩時間の取得方法
● 仮眠時間の設定
● 緊急呼び出し時の対応
● 仮眠中に業務を行った場合の取扱い

時間外・深夜・休日労働

● 36協定との関係
● 時間外労働の管理方法
● 深夜労働の管理
● 割増賃金の計算方法

勤怠管理

● 打刻・記録方法
● 勤務時間の確認者
● 修正申請の方法
● 記録の保管方法

健康・安全への配慮

● 長時間勤務者への対応
● 健康診断
● 相談窓口
● 緊急時の交代要員

社内規定と実際の運用に違いがないよう、定期的に確認することも重要です。

仮眠時間と休憩時間はどう区別する?

仮眠時間と休憩時間は、名称ではなく、その時間に労働者が業務からどの程度解放されているかによって判断する必要があります。

例えば、休憩時間であっても自由な利用が認められず、業務対応が求められている場合は、実態に応じた判断が必要になります。

確認すべきポイントは以下のとおりです。

● 業務への即時対応義務があるか
● 現場や職場から離れることができるか
● 仮眠・休憩施設が確保されているか
● 呼び出しが発生する可能性や頻度
● 実際に業務から解放されているか

勤務表や就業規則だけでなく、実際の現場運用も確認することが重要です。

36協定と勤務体制はどのように連動させる?

36協定と実際の勤務シフトにずれがあると、時間外労働の管理が適切に行えなくなる可能性があります。

そのため、シフト作成時には、時間外労働の実績と協定上の上限を確認する仕組みを整えることが重要です。

確認すべきポイントは以下のとおりです。

● シフトごとの実労働時間
● 月間・年間の時間外労働時間
● 休日労働の状況
● 仮眠時間が労働時間に該当するか
● 変形労働時間制との関係
● 勤務後の休息時間

定期的に勤怠データを確認することで、時間外労働が過度になっていないかを把握しやすくなります。

変形労働時間制を導入する際のポイントは?

変形労働時間制を導入する場合は、自社の勤務形態に合った制度設計と必要な手続きを行うことが重要です。

警備業では、日によって勤務時間が異なる現場もあるため、勤務形態に応じて制度を検討することがあります。

導入時には、以下の項目を確認しましょう。

● 対象となる従業員
● 対象期間
● 各日の勤務時間
● シフトの作成方法
● 就業規則への記載
● 必要な労使協定や届出

制度を導入しただけでは適切な運用とはいえません。実際のシフトや勤怠記録と制度内容が一致していることが重要です。

労働基準監督署への説明では何を準備する?

労働基準監督署などへ勤務体制を説明する必要がある場合は、制度だけでなく、実際の勤務実態を確認できる資料を準備することが重要です。

例えば、以下の資料が考えられます。

● 勤務シフト表
● 就業規則の該当部分
● 36協定などの関連書類
● 勤怠記録
● 休憩・仮眠時間の管理方法
● 仮眠室や休憩施設の状況
● 健康管理に関する取組内容
● 社内研修や周知に関する記録

特に重要なのは、書類上の制度と実際の勤務状況に違いがないことです。

まとめ|警備業の24時間勤務は「拘束時間」と「労働時間」の管理が重要

警備業では、24時間体制が必要となる現場もあります。しかし、長時間の拘束勤務を導入する場合は、単純に勤務時間を長く設定するだけでは適切な運用とはいえません。

特に、以下のポイントを確認することが重要です。

● 実際の労働時間を正確に把握する
● 休憩時間と仮眠時間を明確に区分する
● 仮眠中の業務対応の実態を確認する
● 必要に応じて36協定などの手続きを行う
● 勤務形態に応じた労働時間制度を検討する
● 深夜労働や時間外労働を適切に管理する
● 勤務後の休息や健康への配慮を行う
● 勤怠管理を正確に行い、実際の勤務状況を記録する

警備業の24時間勤務では、**現場の安定した運営と警備員の安全・健康を両立させることが重要です。**勤務制度、社内規定、勤怠管理の仕組みを整え、実際の運用状況を定期的に確認しながら、適切な勤務体制を構築していきましょう。