警備会社設立の手続きと必要事項のまとめ ~申請手続きに必要な重要なステップ~
警備会社を設立するには、人員の確保、警戒体制の構築、防止策の徹底が不可欠です。
警備業は、事故や盗難、危害の発生を未然に防ぎ、通行の安全確保や雑踏警備を通じて社会の秩序維持に貢献する重要な役割を担います。
・人員の確保
警備会社を設立する際には、人員の確保と適正な管理が重要です。警備員の採用には、警備業法に基づく認定資格の取得が必要であり、
適切な教育を実施することで、警戒業務の質を向上させることができます。
・警戒体制の構築
警戒と防止の施策も欠かせません。警備計画を策定し、事故や盗難のリスクを事前に予防することが求められます。
特に車両を利用する移動警備業務では、適正な管理と監視システムの導入がリスク軽減につながります。
・防止策の徹底
効果的な警戒・防止施策には、事前のリスク分析と戦略的な管理体制の構築が不可欠です。
施設やイベント警備では、危害を未然に防ぐ対応が必須です。適切な人員配置と巡回計画の立案により、現場の安全を確保できます。
警備会社の運営では、法令遵守を徹底し、公安委員会への必要な届出や申請手続きを確実に行うことが重要です。
1.警備会社を設立するための基本要件
警備会社を開業するには、警備業法に基づいた認定を受ける必要があります。企業形態としては、個人事業主か法人(株式会社・合同会社など)を選ぶことができます。
2.設立までの手続きの流れ
①事業計画の作成:警備業務の種類(どのような警備サービス)を提供するかや運営方針を策定。
②法人登記(会社設立):法務局で登記を行う。
③警備業認定の申請:公安委員会へ申請を行う。
④必要書類の準備・提出:定款、役員構成、警備員指導教育責任者の選任など。
⑤認定取得後の営業開始:警備員の採用、教育、営業活動。
1.事業計画の策定
警備会社を設立するには、まずどのような警備サービスを提供するかを決め、具体的な事業計画を策定する必要があります。
2.法人登記の手続き
会社の定款を作成し、公証人の認証を受ける。
法務局に法人登記を申請し、会社設立を完了する。
3.警備業認定の取得
警備業を営むには、公安委員会の認定を受ける必要があります。
・必要な書類(定款、登記事項証明書、警備員指導教育責任者資格証など)を準備。
・営業所を管轄する警察署に認定申請を行う。
4.開業資金の調達
備業を始めるには、初期投資が必要です。資金調達方法として以下の選択肢があります。
・日本政策金融公庫の創業融資(最大3,000万円)
・銀行融資
・補助金・助成金の活用
5.人材の確保と教育
・警備員の採用を行い、新任研修(30時間以上)を実施。
・半年ごとに現任研修(8時間以上)を実施し、教育体制を整える。
6.契約・営業活動
・企業や施設と警備業務契約を締結。
・広告や営業活動を通じて顧客を獲得。
3.申請時に必要な書類
・警備業認定申請書
・定款
・役員の住民票・身分証明書
・警備員指導教育責任者の資格証
・事務所の所在地を証明する書類
4.資金調達と経営のポイント
警備業を始めるには、初期投資が必要です。
警備会社の設立には、初期費用として事務所の賃貸費用や社員の給与、制服や警備機材の購入費用がかかります。資金調達の方法として、銀行融資、日本政策金融公庫の創業融資、補助金の活用などがあります。
5.警備業認定を受けるための条件
認定を受けるためには、一定の条件を満たす必要があります。
・経営者が警備業法の欠格事由に該当しないこと。
・指導教育責任者の選任。
・適正な事業運営体制の確立。
※警備業法の欠格事由とは
警備業認定を受けられない主な理由
1.破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
2.禁錮以上の刑に処せられた者
・刑の執行を終えてから5年が経過していない場合
3.警備業法違反による罰金刑を受けた者
・罰金刑の執行を終えてから5年が経過していない場合
4.重大な不正行為を行った者
・警備業務に関する法令違反がある場合
5.暴力団関係者
・暴力団員としての活動歴がある場合
6.アルコール・麻薬・覚醒剤の中毒者
7.心身の障がいにより警備業務を適正に行えない者
8.未成年者(成年者と同等の能力を有しない場合)
9.警備員指導教育責任者を選任できない者
10.法人の役員が上記の欠格事由に該当する場合
認定を受けずに警備業を営んだ場合の罰則
警備業認定を受けずに警備業務を行った場合、100万円以下の罰金が科される可能性があります。これは刑事罰となり、前科がつくため、今後の事業活動に影響を及ぼす可能性があります。
警備業の認定を受ける際は、これらの欠格事由に該当しないことを確認し、適切な手続きを行うことが重要です。
6.事業開始後の運営について
警備業は契約先の信頼が重要となるため、適切な業務遂行と法令遵守が求められます。広告・営業活動を通じて顧客を獲得し、警備員の教育と管理を徹底することが成功の鍵となります。
警備業認定の申請手続きに必要な重要なステップ
警備業認定申請の流れ
1.定款の確認 会社の定款に「警備業」の記載があるか確認し、必要なら定款変更を行います。
2.必要書類の準備 申請に必要な書類を収集し、認定申請書を作成します。
3.警備業認定の申請 営業所を管轄する警察署(防犯係)に申請を行います。申請手数料は 23,000円 です。審査期間は 約40日 です。
4.服装届出書の提出 警備業務で使用する制服の色や型式を記載した服装届出書を提出します。
申請時に必要な書類
警備業認定の申請には、法人申請と個人申請で必要な書類が異なります。
*法人申請の場合
法人として警備業認定を申請する場合、以下の書類が必要です。
・認定申請書(都道府県警察のウェブサイトでダウンロード可能)
・定款の写し
・登記事項証明書(会社謄本)
・代表者の誓約書
・役員の履歴書
・役員の住民票(本籍地記載のもの)
・役員の身分証明書(本籍地の市区町村で取得)
・役員の診断書
・警備員指導教育責任者の資格者証の写し
・警備員指導教育責任者の誓約書
・警備員指導教育責任者の履歴書
・警備員指導教育責任者の住民票(本籍地記載のもの)
・警備員指導教育責任者の身分証明書
・警備員指導教育責任者の診断書
*個人申請の場合
個人で警備業認定を申請する場合、以下の書類が必要です。
・認定申請書
・住民票(本籍地記載のもの)
・履歴書
・身分証明書(本籍地の市区町村で取得)
・診断書
・欠格事由に該当しない旨の誓約書
・警備員指導教育責任者の資格者証の写し
・警備員指導教育責任者の誓約書
警備業認定の申請において、特に重要な書類
最重要書類
1.認定申請書
・警備業を営むための正式な申請書で、公安委員会に提出する必須書類です。
2.定款の写し
・会社の事業目的に「警備業」が含まれていることを証明するために必要です。
3.登記事項証明書(会社謄本)
・法人としての正式な登録情報を証明する書類です。
4.警備員指導教育責任者の資格者証の写し
・警備業務を適正に運営するために必要な資格を持っていることを証明します。
5.役員の住民票(本籍地記載)
・役員の身元確認のために必要です。
6.役員の身分証明書
・役員が警備業法の欠格事由に該当しないことを証明するための書類です。
7.役員の診断書
・健康状態を証明するために必要です。
その他重要な書類
・代表者の誓約書(警備業法を遵守することを誓約する書類)
・警備員指導教育責任者の誓約書(業務を誠実に行うことを誓約する書類)
・服装届出書(警備員の制服の色や型式を公安委員会に届け出る書類)
これらの書類は、警備業認定を受けるために不可欠であり、特に認定申請書、定款の写し、登記事項証明書、警備員指導教育責任者の資格者証は最も重要です。申請の際は、これらの書類を正確に準備し、提出することが求められます。
認定の有効期間と更新
認定の有効期間は 5年間 で、継続して警備業を営む場合は 満了日の30日前までに更新申請 を行う必要があります。
注意点
・申請前に警察署へ連絡し、申請日時を予約するとスムーズに進みます。
・服装届出書は 業務開始前日まで に提出する必要があります。
・警備業務の区分によっては、警棒などの護身用具の届出も必要になる場合があります。
詳細な情報は、警視庁の公式ページ や 専門家による解説 で確認できます。
警備会社を運営するための資格について
警備業に関する資格には、警備員としての業務を行うための資格と、警備会社を運営するための資格があります。警備会社を運営するためには、以下の資格が必要になります。
1.警備業認定
警備業を営むには、公安委員会から警備業の認定を受ける必要があります。認定を受けるためには、以下の条件を満たす必要があります。
・警備業法の欠格事由に該当しないこと
・警備員指導教育責任者の選任
・適正な事業運営体制の確立
2.警備員指導教育責任者資格
警備会社の営業所には、警備員指導教育責任者を配置することが義務付けられています。この資格は、警備員の教育・指導を行うために必要です。資格には以下の区分があります。
・1号業務(施設警備)
・2号業務(交通誘導・雑踏警備)
・3号業務(貴重品運搬)
・4号業務(身辺警備)
3.機械警備業務管理者資格
機械警備を行う営業所には、機械警備業務管理者の配置が義務付けられています。この資格を取得するには、公安委員会が実施する講習を受講し、修了考査に合格する必要があります。
4.警備業務検定(国家資格)
警備員の専門性を証明する資格で、以下の種類があります。
・施設警備業務検定(1級・2級)
・交通誘導警備業務検定(1級・2級)
・雑踏警備業務検定(1級・2級)
・貴重品運搬警備業務検定(1級・2級)
・核燃料輸送警備業務検定(1級・2級)
・空港保安警備業務検定(1級・2級)
資格取得の方法
・警備業務検定は、特別講習を受講して試験に合格することで取得できます。
・警備員指導教育責任者資格は、警備業務検定1級の合格者や一定の実務経験者が講習を受講し、修了考査に合格することで取得できます。
・機械警備業務管理者資格は、公安委員会が実施する講習を受講し、修了考査に合格することで取得できます。
資格の詳細や試験の難易度については、日本セキュリティ協会や警備ドットコムの情報を参考にするとよいでしょう。
警備会社を設立するための資金調達方法について
警備会社の設立には、事務所の賃貸費用、警備員の給与、制服や警備機材の購入費用などがかかるため、適切な資金調達方法を選ぶことが重要です。
1.創業融資(日本政策金融公庫)
日本政策金融公庫では、警備業を含む新規事業者向けに創業融資を提供しています。
・融資額:最大3,000万円(うち運転資金は最大1,500万円)
・金利:約1.5%~2.5%(変動あり)
・返済期間:設備資金は最大20年、運転資金は最大7年
・必要書類:事業計画書、資金計画書、法人登記書類など
2.銀行融資(信用保証協会付き融資)
銀行からの融資を受ける際、信用保証協会の保証を付けることで融資を受けやすくなります。
・メリット:公庫融資よりも高額な資金調達が可能
・デメリット:審査が厳しく、保証料が発生する
3.補助金・助成金の活用
警備業の開業に利用できる補助金・助成金には以下のようなものがあります。
・小規模事業者持続化補助金(最大200万円)
・ものづくり補助金(最大1,000万円)
・IT導入補助金(最大450万円)
補助金は返済不要ですが、申請には事業計画書の作成が必要です。
4.投資家・ベンチャーキャピタル
警備業の新しいサービス(AI警備システムなど)を導入する場合、投資家やベンチャーキャピタルから資金調達することも可能です。
5.クラウドファンディング
警備業の新規事業として、地域密着型の防犯サービスを提供する場合、クラウドファンディングを活用することで資金を集めることができます。
6.自己資金と親族・知人からの借入
自己資金を活用するほか、親族や知人からの借入も選択肢の一つです。ただし、返済計画を明確にすることが重要です。
警備会社を運営する際の注意点
警備会社の運営には、法令遵守、警備員の管理、顧客対応、経営の安定化など、さまざまな要素が関わります。警備会社を運営する際には、以下の点に注意することが重要です。
1.法令遵守とコンプライアンス
警備業は警備業法に基づいて運営されるため、法令遵守が不可欠です。特に以下の点に注意しましょう。
・警備業認定の更新(5年ごと)
・警備員指導教育責任者の配置
・適正な契約書の作成
・個人情報保護の徹底
2.警備員の教育と管理
警備員の質が会社の信頼性を左右します。以下の点を徹底しましょう。
・新任教育(30時間以上)
・現任教育(半年ごとに8時間以上)
・適切な勤務管理と労働環境の整備
・クレーム対応の研修
3.業務の安全管理
警備業務は危険を伴うため、安全管理が重要です。
・適切な装備の提供(制服・警棒・無線機など)
・緊急時の対応マニュアルの整備
・定期的な安全確認とリスク管理
4.顧客対応と信頼構築
警備会社の成功には、顧客との信頼関係が不可欠です。
・契約先との定期的なコミュニケーション
・クレーム対応の迅速化
・サービス品質の向上
5.経営の安定化
警備業は人件費が大きな割合を占めるため、経営の安定化が重要です。
・適切な資金管理
・新規契約の獲得
・競合との差別化(最新技術の導入など)
警備業の契約と営業活動について詳しく説明します。
警備業の契約
警備会社は、企業や施設と契約を結び、警備サービスを提供します。契約の種類には以下のようなものがあります。
・常駐警備契約:オフィスビルや商業施設などに警備員を常駐させる契約。
・巡回警備契約:定期的に警備員が巡回し、異常がないか確認する契約。
・イベント警備契約:コンサートやスポーツイベントなどの短期間の警備契約。
・機械警備契約:防犯カメラやセンサーを活用した警備サービスの契約。
契約を結ぶ際には、警備業法に基づいた適正な契約書を作成し、業務範囲や責任の所在を明確にすることが重要です。
警備業の営業活動
警備会社の営業活動は、新規顧客の獲得と既存顧客との関係維持が中心となります。これは、企業や施設に対して警備サービスを提供するための重要な業務です。
1.ターゲット企業の選定
企業や施設の防犯ニーズを調査し、適切な警備サービスを提案。
2.得意先の定期訪問
既存の顧客との関係を維持し、警備サービスの品質向上や追加のニーズを把握するために定期的に訪問します。顧客の施設の状況を確認し、警備体制の改善提案を行うことが重要です。
3.新規顧客の開拓
市場調査を行い、警備サービスを必要とする企業や施設を特定し、提案を行います。競合他社のサービスと比較しながら、自社の強みを活かした営業戦略を展開することが求められます。
4.現場巡回
警備員の勤務状況や設備の稼働状況を確認し、問題点があれば迅速に対応します。顧客との信頼関係を築くために、定期的な巡回が欠かせません。
5.営業手法の選定
ターゲット市場を見極め、適切な営業手法を選択します。例えば、飛び込み営業や電話営業を活用し、企業の警備ニーズに応じた提案を行います。
飛び込み営業:直接企業を訪問し、警備サービスを提案。
電話営業:企業に電話をかけ、警備サービスの導入を提案。
オンライン営業:ウェブサイトやSNSを活用して警備サービスを紹介。
6.契約交渉とアフターケア
契約締結後も、警備システムの運用状況を確認し、トラブル対応や改善提案を行うことで、長期的な関係を築きます。
・契約交渉
企業の予算やニーズに合わせたプランを提案し、契約を締結。
・アフターサービス
契約後のフォローアップを行い、警備サービスの品質を維持。
警備業の営業活動は、競争が激しい業界のため、他社との差別化が重要です。例えば、最新の防犯技術を導入したり、警備員の教育を徹底することで、信頼性の高いサービスを提供できます。体力や精神力が求められる仕事ですが、顧客の安全を守るという社会的な意義も大きいです。成功するためには、顧客のニーズを的確に把握し、信頼関係を築くことが重要です。
さらに詳しい情報は、警備会社の営業についてや警備業の契約方法で確認できます。
成功した警備会社の事例
成功した警備会社の事例として、業務効率化とデジタル化を推進した企業が挙げられます。
例えば、以下のような取り組みを行った企業が成果を上げています。
1.クラウド型スケジュール管理で業務の「見える化」
ある警備会社(隊員40名規模)は、従来の手作業によるスケジュール管理に課題を抱えていました。クラウド型のスケジュール管理システムを導入したことで、リアルタイムで警備業務の状況を把握できるようになり、売上や利益の計算も自動化されました。
2.手配業務の自動化で連絡ミスを削減
別の警備会社(隊員30名規模)は、警備員の手配を電話やメールで個別に行っていたため、連絡ミスや確認漏れが発生していました。システム導入後は、ボタン一つでLINEやメールを一斉送信できるようになり、手配業務にかかる時間を90%削減しました。
3.請求書作成の自動化で事務作業を効率化
隊員60名規模の警備会社では、請求書作成を手作業で行っていたため、毎月の作業時間が膨大でした。クラウドシステムを導入し、請求書の自動作成と分類を実現したことで、転記ミスがなくなり、業務負担が大幅に軽減されました。
4.日報のデジタル化で報告ミスをゼロに
紙の日報を使用していた警備会社では、提出忘れや紛失が多発していました。スマホやタブレットで日報を入力できるシステムを導入したことで、提出率が向上し、管理者がリアルタイムで状況を把握できるようになりました。
5.人員調整のシステム化で繁忙期の対応を強化
警備員100名を抱える企業では、繁忙期の人手不足や余剰人員の調整が課題でした。システム導入後は、リアルタイムで人員状況を共有し、スムーズな人員調整が可能になりました。
これらの事例から、デジタル化と業務効率化が警備会社の成功の鍵であることが分かります。警備業務の最適化を目指す場合、こうしたシステムの導入を検討するのも有効な戦略です。