【必読】警備業の立ち入り検査とは?チェック項目や必要書類を徹底解説!

警備業を営むには、法律に基づいた運営が求められます。そのため、公安委員会(警察)が定期的に「立ち入り検査」を実施し、適正な運営が行われているかをチェックします。

しかし、立ち入り検査では具体的に何が確認されるのか、どんな書類が必要なのか、詳しく知らない方も多いのではないでしょうか? 本記事では、警備業の立ち入り検査について、分かりやすく詳しく解説します。

立ち入り検査とは

立ち入り検査とは、各都道府県の公安委員会(警察)が警備会社を訪問し、その運営状況を詳細に確認するために実施される法的な検査のことです。これは警備業法第43条に基づいており、警備業務が適正に行われているかをチェックする重要な手続きとなります。警備業は社会の安全と秩序を守る役割を担っているため、その業務が法律に基づいて適切に行われているかどうかを定期的に監督する必要があります。特に、警備員の教育や資格、装備の管理、契約内容の適正性など、業務に関わるあらゆる面について細かく審査されます。公安委員会は、必要に応じて書類の確認や現場での聞き取り調査を行い、万が一、不適切な運営や違反行為が発覚した場合は、指導や処分を行うこともあります。立ち入り検査は、警備会社にとって義務であり、拒否することは法律違反に当たるため、必ず誠実に対応することが求められます。

警備業は人々の安全を守る重要な仕事

警備業は、施設の防犯や人々の安全確保、災害時の対応、さらには公共の秩序維持など、さまざまな分野で社会を支える重要な役割を担っています。そのため、警備業務が適正に行われない場合には、大きな社会的リスクが生じることになります。たとえば、警備員の適切な教育が行われていない場合、不測の事態に対応できなかったり、逆に過剰な対応をしてしまったりすることでトラブルを招く可能性があります。また、違法な契約や不正な運営が行われると、依頼者や一般市民の信頼を損ね、警備業全体の信用を失うことにもつながります。そのため、公安委員会は立ち入り検査を通じて、法律違反がないか、不正行為が行われていないかを厳しく監督しています。立ち入り検査は単なる形式的なものではなく、社会の安全を守るために不可欠なプロセスなのです。警備会社側も、この検査を単なる義務と捉えるのではなく、業務の適正化や品質向上の機会と考え、積極的に取り組むことが求められます。

立ち入り検査の対象となる警備会社

基本的に、警備業の認可を受けたすべての警備会社が立ち入り検査の対象となります。これは、大手の警備会社に限らず、小規模な警備会社や個人事業として運営されている警備業者も例外ではありません。また、新しく開業したばかりの会社であっても、開業後の運営が適正に行われているかを確認するために、定期的または必要に応じて抜き打ちで検査が実施されます。特に、新規の警備会社の場合、警備員の配置や教育体制、業務遂行の基準などが適切に整備されているかが重点的にチェックされる傾向にあります。加えて、過去に違反歴がある会社や、苦情・通報が多い会社については、より厳格な検査が行われることがあります。立ち入り検査は、警備業界全体の健全化を図るために行われるものであり、特定の会社だけが対象となるものではなく、すべての警備会社に対して公平に実施されるものです。そのため、どの会社も日頃から法令遵守を徹底し、いざ検査が行われた際に問題が発生しないよう備えておくことが重要です。

検査に応じないとどうなる?

立ち入り検査を拒否したり、虚偽の報告をしたりすると、警備業法に基づき厳しい処分を受けることになります。具体的には、業務停止命令や許可の取消しといった行政処分が下される可能性があります。これは、警備業が社会の安全を担う重要な業務であり、適切な監督を受けることが求められているためです。もし警備会社が検査を拒否すれば、「何か隠したいことがあるのではないか」と疑われ、より厳しい調査が行われる可能性もあります。また、虚偽の報告をした場合、それが発覚すると信頼を損ねるだけでなく、さらに重い処分が科されることになります。一度でも処分を受けると、会社の評判に大きな影響を与え、新規の契約が難しくなるなど、経営にも悪影響を及ぼす恐れがあります。そのため、警備会社は日頃から法令を遵守し、適正な運営を心がけることが不可欠です。立ち入り検査が実施された際には、正確な情報を提供し、誠実に対応することが、警備会社の信頼を守るためにも重要となります。

立ち入り検査でチェックされる主な項目

公安委員会が実施する立ち入り検査では、警備業務の適正な運営を確認するために、以下のようなポイントが重点的にチェックされます。

① 警備員の資格と教育状況

警備員が適切な資格を保持し、必要な教育を受けているかどうかは、警備業務の質を確保するうえで極めて重要なポイントです。そのため、立ち入り検査では、警備員の教育状況や資格に関する詳細な確認が行われます。具体的には、以下の点について厳しくチェックされます。

  • 警備員指導教育責任者の配置が適正か
    警備業法では、一定規模以上の警備会社に対し、警備員指導教育責任者の配置が義務付けられています。この責任者は、警備員の教育や指導を行い、適正な業務遂行をサポートする役割を担います。検査では、配置が適切に行われているか、責任者が適正な指導を行っているかが確認されます。
  • 警備員が必要な研修(新任・現任教育)を受講しているか
    警備員は、入社時に「新任教育」を受け、その後も定期的に「現任教育」を受講することが義務付けられています。これらの研修では、警備業務に必要な知識や技能、安全管理に関する講習などが実施されます。検査では、これらの研修が適切に実施されているか、受講履歴が記録されているかを細かく確認されます。
  • 資格証の不備がないか(警備業務検定の合格証明書など)
    警備業務の種類によっては、特定の資格(警備業務検定)が必要となる場合があります。例えば、交通誘導警備業務や貴重品運搬警備業務などは、資格を持つ警備員が担当しなければなりません。検査では、警備員が適正な資格を取得しているか、資格証の管理が適切に行われているかがチェックされます。

教育が不十分な場合、警備員の業務品質が低下し、現場でのトラブルやクレームにつながる可能性があります。そのため、警備会社は定期的に研修を実施し、すべての警備員が最新の知識と技能を身につけている状態を維持することが求められます。

② 事務所の管理体制

警備会社の事務所は、警備業務の運営を適切に管理するための拠点であり、その管理体制が適正であるかどうかは、業務の信頼性に直結します。したがって、立ち入り検査では、事務所の運営状況についても詳細な確認が行われます。特に以下の点が重点的にチェックされます。

  • 事務所が警備業法で定められた要件を満たしているか
    警備業法では、事務所の設置に関する一定の基準が定められています。例えば、事務所の所在地や設備、帳簿類の管理体制などが適正であることが求められます。検査では、これらの基準がしっかり守られているかが確認されます。
  • 営業所の所在地が届出と一致しているか
    事務所や営業所の所在地が、公安委員会へ届け出た住所と一致しているかもチェックされます。実際の営業所と異なる場所で業務を行っている場合、法律違反とみなされる可能性があります。そのため、事前に届出内容を確認し、必要に応じて変更手続きを行うことが重要です。
  • 不適切な営業活動(違法な勧誘や契約など)が行われていないか
    警備業務は、法律に基づいた適正な契約により提供されるべきものであり、違法な勧誘や契約が行われることは許されません。例えば、誇大広告や虚偽の説明を用いた勧誘、契約内容の不透明さなどは、厳しく取り締まられます。検査では、これらの不適切な営業活動が行われていないか、契約書類の内容が適正かどうかがチェックされます。

事務所の管理体制が不十分な場合、警備業の信頼性が損なわれるだけでなく、営業許可の取り消しや業務停止命令などの厳しい処分を受ける可能性もあります。そのため、警備会社は日頃から適正な管理体制を維持し、検査の際に問題が発生しないようにしておくことが求められます。

③ 契約や業務の適正性

警備業務は、依頼者との契約に基づいて実施されるため、その契約内容が適正であることが非常に重要です。契約に不備があると、トラブルの原因になり、最悪の場合、警備業務の信頼が損なわれることになります。そこで、立ち入り検査では、契約内容や業務の適正性についても細かくチェックされます。特に以下の点が重点的に確認されます。

適正な報酬が支払われているか
警備員に対する給与や手当が、労働基準法に基づいて適正に支払われているかも検査のポイントとなります。最低賃金の遵守はもちろんのこと、残業手当や深夜手当、休日出勤手当などが適切に支払われているかがチェックされます。不適切な給与管理が発覚した場合、指導や処分の対象となる可能性があります。

警備契約が法律に準拠しているか
警備業務の契約は、警備業法をはじめとする関連法規に準拠した内容でなければなりません。契約書には、業務内容、警備員の配置、料金体系、期間、責任範囲などが明確に記載されている必要があります。検査では、契約が適切に締結されているか、違法な契約が含まれていないかをチェックします。

警備員の労働条件や勤務状況が適切か
警備業務は、長時間勤務や夜間勤務が発生することも多いため、警備員の労働条件が適正に管理されているかが重要です。適切な休憩時間が確保されているか、労働時間の管理が行われているか、過度な負担がかかっていないかなどが検査の対象となります。また、労働基準法に違反するような勤務体系がないかも確認されます。

立ち入り検査で求められる主な書類

検査では、警備業の適正な運営を証明するためにさまざまな書類の提出が求められます。以下の書類は、必ず整理しておく必要があります。

① 警備員名簿・教育記録

警備員が適正に雇用され、必要な教育を受けていることを証明するためには、警備員名簿や教育記録の整備が欠かせません。これらの書類が適切に管理されていない場合、立ち入り検査の際に「教育不十分」や「適正な雇用管理がされていない」と判断される恐れがあります。そのため、日頃から書類を整理し、必要な情報をすぐに提示できる状態にしておくことが求められます。

  • 警備員名簿(氏名・資格・雇用状況など)
    警備員名簿には、すべての警備員の基本情報が記載されていなければなりません。氏名、生年月日、雇用開始日、所属部署、担当業務などの基本的な情報に加え、所持資格や業務経験の記録も重要です。また、警備業法に基づき、警備員の身元確認を適切に行い、適正な雇用がされていることを証明するために、本人確認書類(運転免許証、住民票など)や雇用契約書の写しもあわせて保管しておく必要があります。
  • 新任教育・現任教育の受講記録
    警備員は、入社時に「新任教育」を受け、その後も定期的に「現任教育」を受講することが義務付けられています。これらの教育は、警備員が業務に必要な知識や技能を習得し、適正な業務を遂行するために不可欠です。教育の実施状況を示す記録には、受講日時、カリキュラム内容、講師の氏名、受講者の署名などを明記する必要があります。教育を実施していない、または記録が不十分な場合、警備業務の質が低下し、検査時に指摘を受ける可能性が高まります。
  • 警備業務検定の合格証明書のコピー
    一部の警備業務(貴重品運搬警備、核燃料物質等危険物警備、施設警備など)では、警備業務検定の資格を取得している警備員が業務を行うことが求められます。そのため、各警備員が取得している資格の合格証明書のコピーを用意し、適切に保管しておく必要があります。また、資格の有効期限や更新状況も管理し、必要に応じて更新手続きを行うことが重要です。

② 事業所の届出関係書類

警備業を適正に運営するためには、公安委員会に対して適切な届出を行い、それに関する書類を整備しておくことが必要です。事業所の所在地や役員情報の変更があった場合は、速やかに届出を行い、最新の情報を公安委員会に報告する義務があります。これらの書類が整っていない場合、警備業法違反と判断されることがあるため、定期的に確認し、必要に応じて更新を行うことが求められます。

  • 警備業の認可証(許可証)
    警備業を営むには、公安委員会の許可を受ける必要があります。許可を受ける際には、事業内容や役員の経歴などの詳細な審査が行われ、許可証が交付されます。この許可証は、警備会社が合法的に業務を行っている証明となるため、常に事務所内の見やすい場所に掲示し、立ち入り検査の際にはすぐに提示できるようにしておく必要があります。
  • 事業所の所在地・役員情報の届出書
    事業所の所在地や役員の情報は、公安委員会に届出を行うことが義務付けられています。事業所の移転や役員の変更があった場合には、速やかに届出を行わなければなりません。変更を届け出ていない場合、無許可営業とみなされ、業務停止命令や許可取消しの処分を受ける可能性があります。これらの届出書類は、最新の情報を反映した状態で整理・保管し、必要に応じて公安委員会からの指示に対応できるように準備しておくことが大切です。
  • 変更届(事業内容や役員が変更になった場合)
    事業の内容や役員に変更が生じた場合は、所定の期間内に変更届を提出する必要があります。例えば、新たに提供する警備サービスの種類を追加したり、取締役が交代したりした場合は、公安委員会への報告が求められます。変更届を提出していないと、公安委員会の立ち入り検査で問題視されることがあるため、変更が発生した際には迅速に対応することが重要です。

③ 警備契約関係書類

警備業務は、依頼者との契約に基づいて遂行されるため、契約に関する書類を適切に管理し、公安委員会の検査時にすぐに提示できるようにしておく必要があります。契約書の不備や管理ミスがあると、警備業の信頼性が損なわれ、業務停止命令や指導の対象となる可能性があります。

  • 警備契約書(顧客との契約内容を明記したもの)
    警備契約書は、警備会社と依頼者との間で交わされる最も重要な書類のひとつです。契約内容には、業務の範囲、警備員の配置数、警備時間、報酬額、契約期間などが明記されていなければなりません。契約内容が曖昧だったり、不適切な条件が含まれていたりすると、トラブルの原因となるため、契約書は正確かつ明確に作成することが求められます。
  • 警備計画書(業務の具体的な内容を示したもの)
    警備計画書には、警備業務の具体的な実施方法や手順が記載されており、警備員が適切に業務を遂行するための指針となります。例えば、施設警備であれば巡回ルートや緊急時の対応策、交通誘導警備であれば交通整理の手順や注意点などを詳細に記載する必要があります。計画書が不適切だと、現場での業務遂行に支障をきたし、依頼者からの信頼を失うことにもつながるため、慎重に作成・管理しなければなりません。
  • 勤務シフト表(警備員の配置状況が分かるもの)
    警備員の勤務状況を適切に管理するためには、勤務シフト表を作成し、常に最新の情報を反映させることが重要です。シフト表には、各警備員の勤務日、勤務時間、担当業務、配置場所などを明記し、過重労働が発生しないよう適正に管理する必要があります。公安委員会の検査では、シフトが適切に組まれているか、労働基準法に違反していないかがチェックされるため、正確な記録を保管しておくことが求められます。

立ち入り検査に備えるためのポイント

① 書類の整理を徹底する

立ち入り検査では、契約書、業務日誌、教育記録、事故報告書など、さまざまな書類の提出を求められることがあります。これらの書類が未整理のままでは、必要な情報をすぐに提示できず、検査対応がスムーズに進まない可能性があります。そのため、普段から整理整頓を徹底し、必要な書類を分類・保管しておくことが重要です。また、書類の管理方法についても見直し、定期的に点検を行うことで、紛失や記入漏れを防ぐことができます。特に、最新の情報が反映されているかどうかを確認し、必要に応じて更新しておくことで、検査時に慌てることなく対応できるようになります。

② 教育と研修を定期的に実施する

警備員の教育や研修の実施状況は、業務の適正性を判断する重要な指標の一つです。教育記録が不十分であったり、研修内容が曖昧であったりすると、警備員が適切な業務を遂行できていないとみなされる可能性があります。そのため、定期的に研修を実施し、その都度詳細な記録を残すことが大切です。研修の内容としては、法令の遵守、安全管理、緊急時の対応手順、顧客対応など、多岐にわたる項目を網羅する必要があります。また、新しく採用された警備員に対しては、初期研修を徹底し、業務の基礎をしっかりと習得させることが求められます。教育の実施状況を管理するために、研修計画を作成し、実施後は記録を整理・保管しておくことで、検査時に確実に提出できるようにしておきましょう。

突然の検査にも対応できる体制を作る

立ち入り検査は、事前に通知される場合もありますが、突然行われることも少なくありません。そのため、日常的に適正な運営を心がけ、いつ検査が入っても問題のない状態にしておくことが重要です。具体的には、業務マニュアルを整備し、すべての従業員が適切に業務を遂行できる環境を作ることが求められます。また、定期的に内部チェックを行い、業務に問題がないかを点検することも有効です。特に、書類の管理状況や業務手順の遵守状況を見直し、改善が必要な点があれば早めに対応することが望ましいです。さらに、検査が実施された際には、スムーズに対応できるよう、役割分担を明確にしておくことも大切です。日頃から業務の適正性を意識し、従業員全体で高い意識を持つことで、突然の検査にも慌てることなく対応することができます。

業務管理を効率化する「警備教育Pro」の活用

立ち入り検査の際に求められる書類の管理や教育状況の把握には、多くの時間と労力が必要になります。そこで、自社開発の業務管理ソフトウェア「警備教育Pro」を活用することで、よりスムーズに対応できるようになります。「警備教育Pro」は、警備業界に特化したシステムであり、新任・現任教育の状況を可視化できるため、誰がどの研修を受講し、どのような教育を受けているかを一目で確認することができます。

また、教育実施内容をソフトに入力するだけで、立ち入り検査時に必要な提出書類が簡単に作成できる機能を備えています。これにより、書類作成の手間を大幅に削減し、管理業務の効率化を実現できます。さらに、警備員名簿の管理機能も搭載しており、各警備員の資格・研修履歴を一覧で確認できるため、適正な人員配置や教育計画の立案にも役立ちます。

普段から「警備教育Pro」を活用することで、日常的な業務管理を効率化し、立ち入り検査にも万全の体制で臨めるようになります。業務の適正な運営を維持しながら、負担を軽減するために、ぜひ「警備教育Pro」を活用してみてはいかがでしょうか。

まとめ:日頃の適正な運営が鍵!

警備業の立ち入り検査では、運営の適正性が厳しくチェックされます。適切な書類管理や教育体制が整っていないと、業務改善命令や許可取消しのリスクがあります。

普段から書類を整理し、法令に則った運営を徹底しておくことで、突然の検査にも落ち着いて対応できるでしょう。警備業者としての信頼を維持するためにも、日頃の準備を怠らないようにしましょう!